ココロ社

主著は『モテる小説』『忍耐力養成ドリル』『マイナス思考法講座』です。連絡先はkokoroshaアットマークkitty.jp

御朱印狩り〜奈良編(1)

奈良駅近辺を中心にまわる。前日で御朱印帳がちょうど一冊終わったところ。某コミュニティで興福寺の御朱印帳の写真を見て、二冊目はぜひこれで、と思ったので、駅前でいつものように自転車を借りて興福寺に直行。しかし予定を立てただけで武者震いがするほど大物揃い…1日でまわれるのか?

興福寺
今回の京都奈良編での最大のハイライト*1が、ここの阿修羅像(写真参照)。最近法隆寺の百済観音像を抜いてココロ社ランキングのトップに躍り出たこともあって、さぞかし混雑してるだろうと思ったのだが、金曜なのですいている!心ゆくまで肉眼やら単眼鏡で眺めようと思ったが、いくら見ても心ゆかないので困った。展示の仕方に問題があって、右側についている顔が横顔しか見えない…で、他の展示もざっと見て出ようとすると、かなり充実した売店がココロ社の身ぐるみを剥ぐべく登場!特に阿修羅像関係の充実ぶりはこの上なく、ポスターやパネルなどを買って、気づいたら興福寺だけで17000円も費やすはめに…しかし部屋に貼っておけば常に拝観可能というメリットは絶大…絵はがきはスキャンして会社のパソコンの壁紙にしようっと。とりあえず、今回の意図である御朱印狩りのことはすっかり忘れ、9時に入ったのに出たのは11時前。これはまずい、次の東大寺は適当に流す感じでいこうと決意。
東大寺
コインロッカーに荷物を預け、身軽になったはずが、興福寺での買い物のせいで自転車の運転も不安定に…道中、シカの糞をペシャンコにしながら自転車はみるみる臭くなっていく。もうたくさんだと思ったころ、ヨロヨロと世界遺産の前に到着。前に磯崎新を読んでいたので、重源の柱だらけの建築を唸りながら眺める。普通柱は野暮ったいから隠すのが常識なのに、東大寺南大門は、上を見ると目が回るくらい柱柱…で、目がチカチカして妙に気持ちいい。「柱だらけですが、何か?」と言わんばかりの作りが面白い。いや、今回は面白いとかそういうのは二の次で、御朱印でしょ?と思い直して再び足を速める。二月堂三月堂四月堂もぬかりなくまわる。
正倉院
中は見られないが、土日は外も見られなかったので、初めて外を見た。正倉院といえば校倉造り、校倉造りといえば、「湿度が高いと木が膨らんで、木と木の間が閉じて湿気が流れてこない。湿度が低いと木が縮んで風通しがよくなるからから中の湿度も低くなる」みたいなことが教科書にすら書いてあったが、最近はそれがフィクションであったことが急速に広まりつつあるみたいだ。「歴史学者だから理数系にめっぽう弱い」という言い訳は通用しないと思う。だって何十年もこのウソを大学から高校、中学の何万人もいる教師が子供たちに「校倉造りってのはよくできていて…」という話をしていたわけだから…ちなみに新兵器の単眼鏡で見たら、湿度が高いのにスキマありだった。ダメじゃん。いや、高床式倉庫であるという点が一番湿気防止によかったみたいですが。
春日大社
伊勢神宮と違って見せっぷりが非常にいい。かなり核心まで迫れる。ただし500円。こういうときに迫っておいて、「伊勢神宮も同じかなー」と参考にする。なんか有名タレントのそっくりさんヌード的だが…
新薬師寺
はな先生がナレーションをつとめる12神像のDVDも記憶に新しい新薬師寺。人気の高い寺のはずだが、つぶれかけの飲み屋みたいな張り紙がしてある「全部15世紀の仏像」とか書いてあり、歴史があることをアピール。何かとくどい。「こんなに仏像の近くで写経ができるのはここだけ」とか書いてあった。たしかに12体がずらりと揃うさまは壮観で、これだったら邪気が寄ってくることもなかろうと思った。また、仏像付近ではDVDが流され、本堂の中では、つたないはな様のナレーションが本人の希望とはおそらく裏腹に堂内に響き渡っていたとさ。
唐招提寺
いつまで修理しているのかと思ったのだが、一応御朱印はもらおう、と思って入った。前はスルーしていたが、修理中の様子は見えるようになっており、ちょっと眺めた。
薬師寺
最悪の印象しかないので15分で出た。が、二つの塔、片方が当時の彩色、片方がわびさびと対照的なモードになっていて、それを見比べるのは面白い。たとえば薬師寺すべてが風化に身を任せ茶色と白になっていたのなら、印象はよかったに違いないと思うのだが、そのわびさびを求める心は当時の感覚とはまったく違うだろう。ぼくはわびさび的な発想は受け入れがたいので、困惑してしまう。
法隆寺
興福寺から始めたのに、唐招提寺と薬師寺で意気消沈したまま終わってしまうのも悲しいので、最後は法隆寺の百済観音像できめようと思った。閉門1時間前で、百済観音に集中。東京都国立博物館でよくできたレプリカが見られる。まあ、本物にこだわるのも子供っぽい気がするので、東京に戻ってすることがない休日に、とも思ったが、百済観音像像のために作られた宝物殿の中央に「どうよ」という感じで配置されるとやっぱり盛り上がる。前回は3月に行ったのだけど、夢殿は時間切れで行けなかったが、今回は10分前についた(受付終了が4時45分)。妄想していたほどではなくて、こんなものか、と思っていたら、5分前に来ているのに早くも断られている人がいて、入れてやれよ、と思ってムッとし、撮影禁止ゾーンだけど撮影の刑に処してやった。

ということで、興福寺以外でも散財し、今日2冊目に突入したはずの御朱印帳も、すでにあと5つで終了になっている…3冊目はどこから始めよう。東京の寺から始めるのは気が進まない。

*1:前日京都の西往寺で宝誌上人立像を見ようと思ったのだが、なぜか西往寺は閉まっていた、というか、インターネットで西往寺の紹介をしているサイトが皆無。どんな寺なんだろう?