「首都圏に住んでいて忙しいけど異界みたいな感じのところに行きたい」という悩みは「食べたいけど痩せたい」という悩みに似ている。後者については如何ともしがたいが、前者について、逗子にある、中世の葬送施設「まんだら堂やぐら群」に行ってきたときの報告をさせていただきたい。
YouTube動画も作ったのでご高覧いただけますと幸いです。
内容はこのブログとだいたい同じだけれど、女の人が話す体裁にしているので、「中年男性の書いたブログはチョット……」と思っている方におすすめです。
ここは春と秋だけ公開されている場所で、2026年度は下記の土日祝日&月曜。
4月18日(土曜日)~5月31日(日曜日)
10月24日(土曜日)~12月14日(月曜日)
弊ブログに2027年以降にアクセスしてくださった未来人の方々におかれましては、「まんだら堂 公開日」で検索すればOKでございます。
期間限定だが予約などは不要。ちょうどいい異界である。
以下は2025年の秋に行ってきたときの様子です。
行き方はいくつかあるのだが、わたしとしては逗子駅から歩いて法性寺を経由するルートが楽しいと思う。いきなり目的地に行くのではなく、まんだら堂に向かって気持ちを徐々に高めていける。
逗子駅から線路沿いに20分ほど歩くと踏切と轢死者供養塔がある。

本意ならともかく不本意な轢死は避けたく、気を引きしめて渡ろう……などと思ってしまうが、渡らずに右を見ると法性寺の山門が見えてくる。

ただ、わたしは供養塔を眺めすぎたため、思わず踏切を渡って小坪隧道のほうへ行ってしまった。


小坪隧道は心霊スポットとして知られているらしい。霊感ゼロのわたしが行ったときは、特に気持ち悪い感じはなかった。むしろ土木遺産になっていたので、寄り道としてはよいと思う。
気を取り直して元の道に戻って山門を見ると眠り猫を縦にしたようなキャラクターが扁額の両脇でわたしを歓迎していた。

縦だから起き猫かと思って近づいてみると猿だった。

この猿は、日蓮の家が焼かれたとき、白い猿に導かれて難を逃れたという伝承に由来しているらしい。猿に対して、犬猫に比べて人間に近すぎて愛玩する気持ちになれないという気持ちだったが反省した。
階段を登っていくと鳥居があり、さらに登ると山王権現の祠と塔がある。

そしてここから、「お猿畠の大切岸」の全貌が見える。

「お猿畠」は先述の通りだが、「大切岸」とは何だろう。
まんだら堂も見たいが、大切岸も見たいので、少し寄り道した。まんだら堂とは逆方向なのだが、ここまで来て見ないわけにはいかない。


大切岸を間近に見ると、バウムクーヘンを巨大にしたような壁が続いていて、おいしそうである。要するに石切場なのだろうかと思ったが、そのとおりらしい。というか、半世紀以上生きているので、いいかげん地層をバウムクーヘン以外のものに喩えられるようになりたい。
大切岸側から法性寺を見るとthe霊場という景色。

そこから、まんだら堂のある名越の切通へ向かう。
途中には石廟がある。

墳墓堂である。中にはお供えがされていた。

これを供えられて死者が喜ぶのかしらと思ったが、わたしの感性よりも、このお供えをする感性の方がノーマルに近いと認識はしている。
名越の切通。

たしかに「切り通されている」という感じがする。岩を削って、人が通るための道を無理やり作った感じがある。1233年の『吾妻鏡』には、すでにこの道についての記述がある。
鎌倉は、攻略が困難であると同時に、交通の便がよくない土地である。それは表裏一体なのだが、切通を作って通路を確保する必要があった。名越の切通は、三浦半島と鎌倉をつなぐ重要なルートだった。
その切通をしばらく歩くと、まんだら堂やぐら群に到着する。

特に拝観料の設定はなかったが寄付をした。管理されていないと早晩エモいを通り越しそうだからで、実際、公開期間外は草に覆われていることが多いらしい。
写真だけ見ると人がまったくいないように見えるが、10人程度はいた。その人の少なさも含めて異世界のようだった。
五輪塔のサンプルというか本物があった。

ときどき飲食店で食品サンプルではなくて本物をサンプルにしているのを見かけるが、だいたいラップが汗をかいている。五輪塔は下から「地・水・火・風・空」を表している。
「風」の立ち位置が微妙だと思った。空の高度がちょっと低いのが風だから別にたてなくてもよかったのではと思わなくもない。塔のデザインも「空」と一体化している。




やぐらの中で五輪塔がひしめきあっている。それなりに揺れを吸収する構造なのだと思うが、大きな地震が起きてもとに戻そうとしたときは、空featuring風のところは他の人の空featuring風と入れ替わったりしそうな気がする。
誰が供養されているのかはわからない。ただ、同じ穴に入った人たちは、あの世で仲よくできているといいなと思う。わたしは集団生活が苦手なので、自分なら超オンボロの崩れかけの穴でいいから、ひとり用の穴をキボンヌである。

このへんとか空いてるし……。

カラスは頭がよすぎなので、「人間の墓に俺たちはピッタリ」みたいに思っていたりするのかもしれない。
上にあがって全体を見下ろせる場所もある。

上から見ると、あらためて規模の大きさがわかる。そして同時に、崩れているところも多いと気づく。
このやぐら群は、やわらかくて掘りやすい地質だからこそ作られたのだろう。だが、掘りやすいということは、崩れやすいということでもある。作りやすさと壊れやすさは表裏一体。
さらに先へ進むと、切通の終わりがあってクライマックス感がある。

切通を抜けると住宅街で感動した。

「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」は「雪国の先の長いトンネルを抜けると普通の農村であった」でも感動できる自信がある。
そのまま駅に戻るという手もあったが、せっかくなので逗子海岸に寄ってから帰った。

小坪海浜公園には、無理やりヤシの木を植えたような場所があり、冬に行くとビジュアルと気温の差に感動する。
このあと逗子駅に戻るまで道に迷ってだいぶ遠回りしたので、ノーマルな方はまんだら堂からそのまま引き返してもよいかもしれない。
期間限定とはいえ、春と秋という、ちょうど「異界に行きたい」と思うタイミング(少なくともわたしはそうである)で公開されているので、首都圏にお住まいの方は行ってみていただきたい。
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中流でも水が少ない時期なら渡れてしまう。

































エレベーターが置けないくらい細い、ということだと思う。牛久の大仏は久しく行っていないが、たしかエレベーターがあって、シンプルな筒状だった。


















































