京都国立博物館は何度も素通りしてきて、行くのは初めて。今回の展示は3/27まで。「仏像と写真」と聞いて、「仏像の写真の変遷を辿ることによって、仏像がどのように見られてきたのかを探る」的な企画かなと思ったんだけど、全然違った。仏像と写真が解説もなく併置してあるだけ。しかも、写真は白黒で、光の当て方とか角度とかを多少工夫してあるくらい。
しかし、この展示がつまらないかというと全然そんなことはない。名義は「仏像と写真」だけど、その内実は「変態仏像コレクション」に近かった。
お目当ての宝誌上人像もよかったけど、秋篠寺の地蔵菩薩像も面白い。優美とはほど遠い、どこまで醜くなれるかを考え尽くされたようなお姿でございます。実物はもっと気持ち悪い。彩色された状態でも形がこうだから、よくなるわけはないわなぁ。普通の霊験を求めて作ったのではないような気がする。あまりにも共感しかねる。
で、前から実物を見たかった宝誌上人像。全身を見て、思ったよりもラフな作りであることを確認。円空かよ!と言いたくなるほどで、平安中期あたりの鉈彫り。ぼくは鉈彫り自体あんまりなじみがない。鉈彫りは、彫り跡を意図的に残す技法で、東国で使われていた手法らしい。ぼくが行くのは京都奈良が中心なので、そりゃそうなんだけど、ということは、京都の西往寺蔵となっているこの像は、もっと東の方で作られたのだろうかと思う。宝誌は、中国梁武帝のころの高僧だそうで、伝説をそのまま形にしました、という感じ。
あと、常設展で、鎌倉時代の如意輪観音があったけど、見るからにうさんくさく、ニセ飛鳥仏みたいなのがあって、なんやこれと思ったけど、案の定、鎌倉時代に、飛鳥仏を意識して作られたものらしかった。見たとたん吹き出してしまうくらい安っぽい。中小企業のワンマン社長が作らせた仏みたいなうさんくささ。背後に太子信仰があるらしいけど、秘宝館みたいな博物館だなと思った。奈良、東京都は雰囲気が全然違う。三十三間堂に行くときは寄るべき。