ココロ社

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「巻きこみリプライ」は、結局どっちが巻きこまれている方なのか

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きょうは誰も疑問に思っていない話について疑問符を投げかけ、一度も蒸されたことのない話題について蒸し返そうと思っている。

「巻きこみリプライ」の定義

Twitterにおいて、「巻きこみリプライ」という行為が存在することはご存知のとおりである。無関係な人を含む複数の人に同時にリプライを飛ばすことを指すのだが、嫌う人も多い。わたしは、腹は立たないものの、巻きこみリプライをする人の心理に興味を持っていたのだが、ある日、わたしが巻き込みリプライについて大きな誤解をしていたことに気づいた。

わたしは、自分のツイートがリツイートされたり、リプライされたあと、自分と他の誰かへのリプライがきた場合、

・元のツイートをした人(つまり自分)へのリプライ…巻きこみリプライ
・誰かのツイートをリツイートしたり、ツイートにリプライした人へのリプライ…本来のリプライ

と思うことが多かったので、わたしと、わたしのツイートに反応してくださった人の両方同時にリプライをもらっても、わたしとしては「あなたは、友だちと仲良くしゃべっていればいいと思いますよ。あなたはどう思っているか知らないけれど、ぼくたちは話が合わないと思います」と書くのを我慢するので精一杯。そもそも、巻きこみリプライさんは、言葉遣いが雑なことが多く、だいたい友達のように話しかけてくるから、そんな失礼な人はわたしの友だちにはおりません、と思ってしまうし、対象であることを認めたら返事することになって面倒……という気持ちもあった。

しかし、おかしなことに、リツイートしてくれた人もまた、その人のリプライを無視していた。その人はその人で、元のツイートをした人、この場合はわたしあてのリプライではないかと思っていたのだろう。

つまり、その巻きこみリプライさんは、リプライを飛ばした両方に「関係ない話に巻きこまないでほしい」と思われてしまっていたことになり、今思うに大変不憫である。少なくともどちらかにあてたメッセージではあるだろうから。

「巻きこみリプライ」とタイムラインの編集権

この段になってやっと、わたしは世間の様子がおかしいことに気づく。そして、だいたい世間の様子がおかしいことに気づいたときは、結果として、世間の様子はおかしくなくて自分がおかしいことが多かったので、念のため、「巻きこみリプライ」で検索してみると、

・元のツイートをした人へのリプライ…本来のリプライ
・誰かのツイートをリツイートしたり、ツイートにリプライした人へのリプライ…巻きこみリプライ

が主流、というか、世間は皆この考えで、孤独のあまりかえって興奮してしまった。
もちろん、元のツイートへのリプライが本来のリプライであったりすることもあるだろうけれど、ここでわたしは反論がしたい。なぜなら、ツイートをリツイートしたりリプライした人には、編集権を行使して自分のタイムラインに載せて示したのだから、自分のフォロワーからのリプライがあったらそれに応じてもいいはずで、「他の人のツイートを載せただけだから、わたしに責任はありません」という主張はできないからである。また、雑なリプライをした人が、どちらに対してリプライをしているかリプライ自体からは判別が困難だが、少なくとも、元のツイートをした人とは互いのツイートを日常的に読み合っている関係ではないのだから丁寧に返事をする義理はないと思うし、仲よしがリツイートやリプライしたのだから、その言論について、仲よしに対して何か言いたくなることもあるはずだ。知っている人同士で仲よくコミュニケーションをとってほしいと思うのが普通ではないだろうか。だから、元のツイートをした人でなく、リツイートした人やリプライした人が応対するのがむしろ自然だと思うのである。

「実は3人で話したいと思っている」説

……などと、巻きこみリプライが誤操作によってなされていることを前提に議論を進めてきたけれど、実は、もともと3人で話したいと思って意図的にリプライをしている人も相当数含まれているのではないかと思っている。その含有率は、飲み会に断りなく別の友だちを連れてくる人の割合と合致するはずである。1000RTされたあたりから湧いてくる巻きこみリプライさんの姿は、実生活で人間関係にまったく無頓着な人と遭遇するのと同じくらいの頻度であるように感じられる。しかも、巻きこみリプライであることを指摘された人を検索して、その後の行動を確認してみると、謝っていない人が多いのである。つまり、巻きこみリプライのほとんどが、実は単に3人で話したいと思っている人なのではないだろうか。
現に、コミュニケーションが好きすぎることでおなじみの英語圏にリツイートされている任意のツイートを見てみると、巻きこみリプライの方は日本よりずっと多い。グローバルな感覚の持ち主こそが巻きこみリプライをしているのかもしれない。そもそも、ふたりで話したいならLINEなどを使えばよいのであって、オープンな場所で発言しているのだから、3人4人の会話が発生しない方が不自然であるともいえるだろう。



ただ、わたしはそのような人種とは相性がよろしくない。自分も人にデリカシーをもって接するので、人にもデリカシーを求めてしまう。
誤操作による巻きこみリプライはあまりうれしいとはいえないものだが、それでも、誤操作でない、過度にオープンな精神の持ち主による巻きこみリプライに比べれば、ありがたみさえ感じられる。だから、巻きこみ状のリプライをした人は、嘘でもいいから「あれは誤操作だった」と言ってほしいと思う。



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