ココロ社

主著は『モテる小説』『忍耐力養成ドリル』『マイナス思考法講座』です。連絡先はkokoroshaアットマークkitty.jp

近所でいちばん高いところに行ってみると楽しい

ここ2ヶ月程度、外出といえば近所への散歩しか選択肢はなかったはずである。
この間に近所の気になるところはすべて網羅して、緊急事態の終わりにあたっては、「遠出できない暮らしも悪くなかったな……」と感慨に耽っていたはずである……が、わたしは行き残した場所があって悶々としていたのだった。自分の家の半径3キロメートルの中で未知の領域がいまだ残されていることを遺憾と言わずして何と言おうか。京都の東寺には毎年のように行っているが、住んでいる多摩市で未踏の地がいくつもあるという矛盾……。
行かずとも、苦労して訪れるほどの価値はないと高をくくっていたが、安倍晋三先生や小池百合子先生から「無理して近場で済ませなくてもいいよ、好きなところに行くといい」などと言われたら、かえって気になってしまう。
 
今回のターゲットは「自分の住む市内の最高地点」である。読んでくださっているみなさまの市区の最高地点はさまざまだと思うが、それが高いかどうかは楽しさとは別で、たとえば東京都港区の最高地点はたかだか25.7mにすぎないが、その最高地点の風景や意味について考えると、日本有数の最高地点だといえるだろうし、「○○市 最高地点」で検索して、唯一解が得られないところもあり、これはこれで冒険のしがいがあるので、もし自分の住んでいるところの最高地点について考えたことがないという方はこの機会にぜひ調べて行ってみてほしい。
 
そしてわたしの住んでいる多摩市の最高地点だが、調べる前に想像していたところとは違った。多摩センターと永山の間のどこかで、すでに何度も行っている場所に違いないと思って地形図を見たら、それよりも高いところがあったのだった。本丸は聖蹟桜ヶ丘と永山の間、多摩市のページに「天王森公園」との記述があったが、地図上で検索しても東村山市の天王森公園しか出てこない。さらに検索してみると、八坂神社の近くにあるという。また汎用性の鬼みたいな神社名……とりあえずこれを目印にして行ってみればわかると思って行ってきたのだった。
 
市内なので徒歩で行ったのだが、いきなり核心に触れてしまうと感動しすぎて号泣してしまう恐れがあったため、東に進んでから、以前、SUUMOタウンでも紹介した、稲城市の最高地点を経由して行くことにした。
 
稲城市の最高地点は、多摩市の最高地点から10分もしないところにあるのだが、見晴らしがいいなと思うだけで、そこが稲城市の最高地点であると明示しているわけではない。

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このゆるい木陰の休憩所のようなところが最高地点で、ここで休憩している人は皆、ここが最高地点だと気づいていないふうである。いや、もしかすると、最高地点であると知っていながら、恥ずかしがり屋なため、その感動が外に漏れないよう、唇を噛んでいるのかもしれない。
 
この地点から少し降りると見晴らしのよいゾーンがある。

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並んでいるのは若葉台パークヒルズ。見ていると住みたくなるのだが、わたしはいつもここで若葉台パークヒルズの物件情報を検索して眺めて満足し、まあでも今の賃貸暮らしもいいじゃないなどと思いつつ、若葉台方面に向かっていたのだった。
 
この先にわが故郷(まだ5年ほどしか住んでいないが)の最高地点が待ち受けていようとは……。
 

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みはらし緑地を降りた道の向こう側は多摩市。このふたつの給水塔が多摩市にあってくれてうれしいと思っている。稲城にはかっこいいトンネルがあるので十分でしょうと思うのである。
 
尾根幹線道路の上を通る橋から見ると、多摩市の守護神のような風格が感じられる。

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……というか、多摩市、改めて見ると緑が多すぎてちょっと驚いた。港区の人が見たら卒倒するのかもしれない。
 
橋を渡って少し歩くと右手に八坂神社。

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さほど高くなかったとしても、最高地点はやはり神社とmixされていてほしいよね……。
 

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神社だけではなく、多摩市天然記念物のスダジイも鎮座していて、大した高さでもないのに神様がいてくれてありがとう……と思う。
 

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天王森公園の名前に若干のインパクトありと思っていたが、やはり明治天皇が訪れた場所らしい。このあたり一帯は御狩場だったことは有名な話。明治天皇が来ただけで「聖蹟」と呼ばれる感覚は、そのよしあしはさておき、今からすると理解不能である。
 

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社殿は簡素だが、左手にブランコがある。

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ブランコ側から社殿を眺める。
神社とセットのブランコは最高だが、大人が乗っていいブランコには見えなかったので見るだけである。
 
 

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また、湿り気の多い中、ワカメ状のものが土の上でよく育っていて、「多摩市の頂点には何もかもがある!」と思ったのだった。
 

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最高地点の標識があり、三角点まで用意されていて感動した。なお、三角点なのに四角い理由は「三角点 なぜ四角」で検索すると得られる。
富士山の3776mなどからすると比べ物にもならない161mだが、最高地点を盛りたててくれるさまざまなアイテムがあり、もっと早く来ておけばよかったと思った。
 
なお、モサモサ感重視のため、見晴らしはさほどよろしくないのだが、失望するには及ばない。すぐ近くに「てっぺん坂」という、少年向けの漫画に出てきそうな名前を冠した坂があり、その坂の上から見ると、それなりの満足感が得られた。

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お住まいの地域の最高地点のよしあしは運次第だけれど、もし、あなたが、自分の住んでいる市区の最高地点がどこか即答できない状態なのであれば、ぜひ調べて行ってみてほしい。ワカメみたいなのが盛大に生えているかもしれないから……。