ココロ社

主著は『モテる小説』『忍耐力養成ドリル』『マイナス思考法講座』です。連絡先はkokoroshaアットマークkitty.jp

最近、感銘を受けたCDとレコード5点

こんにちは。
もう廃盤になっていたり、CDになっていなかったりしますが、最近入手したレコードとCDで特に琴線に触れたものを新譜旧譜をまじえて紹介させていただきたいと思います。アマゾンで買えないものばかりですが、買えたら買えたで「アフィリエイトで小遣い稼ぎですかwww」と揶揄されるかもしれないので、むしろアマゾンで買えないくらいがちょうどイイ!

音楽系の記事は読む人が少ないので、興味ない人でも流し読みくらいはできるよう、アサッテの方角への配慮を施しておきました。お手すきの方はご一読いただければ幸いですが、仕事中の方はわたしの連載が更新されているので「異動先で快適に過ごすための5つのポイント」を読むという手もありまっせ…

37分にも及ぶミニマル超大作が再発!


Fizheuer Zieheuer / Villalobos (Playgroup / CD)
ミニマル系の大御所Ricardo Villalobosの2006年の出世作が再発されていて、ディスクユニオンで猛烈に推していたので試聴もせずに買ってみました。恥ずかしながら、こんなのが出ていたとはとんと知らなんだ…もう5年前あたりから「テクノはもういいかなぁー」と思って聴いていなかったのですが、これは買ってよかったです。
37分にも及ぶミニマル狂騒曲なのですが、再生してみるとホーンがひたすら前進あるのみで、妙な緊張感に満ちていて背筋が伸びてしまいます。時折思い出したように間抜けなファンファーレが鳴るところがコミカルだけど怖い!なんだかファシズムの匂いがプンプンして、ミニマルテクノとかクリックハウスと聞いて想像する音とは別次元。基本的に同じフレーズが37分にわたって延々と続くので、Perfumeなどが好きな人にとってはキッツいかもしれないですが、聞いているうちに意識がボヤーンとしてきて、気づいたらいい時間になっているので安心してください!
時間貴族でない人でも37分を費やす価値あり、というか、時間泥棒ですわ…

デトロイト大御所のオバマ演説物


Yes We Can! / Orlando Voorn feat Obama (NightVision? / 12"EP)
演説物といえば、キング牧師の演説を使ったCan You Feel It / Mr.Fingersが有名ですが、演説の持つリズムと、それとは無関係に動くトラックのリズムの2つのリズムの間に揉まれる感じが気持ちよくて、たまに新しいのが出たら買ったりするわけですが、今、演説といえばこの人、ということで誰かがやるんだろうなーと思っていたオバマ物ですが、なんと名乗りを上げたのは意外にも、オランダ出身でありながら名誉デトロイト人の称号を持つOrlando Voornです。最近は腑抜けたミニマルを連発していて、すっかり才能も枯れ果てたか(合掌)…などと思っていたら、これはロジャーをサンプリングしていた全盛期を彷彿とさせるポジティブな愛のヴァイブス!シンプルな作りながら、4拍目にズドンとくるベースに引きこまれてしまいます。
A面2曲目には「オバマなしでもやっていけるで!」と自信満々、あるいは「次はアナタがオバマです」と言わんばかりの演説抜きバージョンも入っており、思わずYes,you can.と偉そうに呟いてしまう逸品でした。

Ron Hardyなのか誰なのか…そんなことはどうでもいい傑作


Your Mind (Passion) / Jackmaster Hater (Warehouse Box Tracks / 12"EP)
ちょっと友達が家にくるということで申し訳程度に掃除をしていたのですが、そこで発掘されたのがこのレコード。まずレーベルがシカゴハウス総本山のTraxにメチャ似ていて、Jackmaster Haterって誰だよ…と思ったらRon Hardyって書いてある。まあ、これを読んでいる人でRon Hardyを知らない人の方が多いかもしれませんが、カブトムシで言うとヘラクレスオオカブトくらい偉大なDJで、これはどう考えても買いだろう、というか、かつての私が買ったからこうして部屋にあるわけですが、とりあえず年末年始あたりの自分GJということで自分を褒めながら針を落としたら、あんまりにもワイルドなサウンドに腰を抜かしたわ…格段に音質が悪くて、というか、歓声が入っているので、クラブでプレイしているのをそのままカセットに録ったものがマスターになっていると推測されるのですが、実にエキサイティング!ボリュームが無茶苦茶で、一小節の中ですらキックの音が一定でなくて、さすがにそれをグルーヴと強弁することは不可能ですが、サンプリングボイスを手を変え品を変えリピートしているだけなのに、なぜこんなに気持ちがよいのか、自分はアホなのか、と思いながらあっという間に曲が終わってしまいます。しかし、心配することはない、2曲目でもあんまり変わりばえしない別バージョンが展開されて大満足。いろいろ調べてみるとRon Hardyと関係ないという説もあってよくわからないのですが、もう別に誰でもいいやと思える名盤。

ゴルチエの不器用さが愛らしい…


How To Do That / Jean Paul Gaultier (Mercury/12"EP)
ヤングな人は知らんかもしれないですが、89年のJean Paul Gaultierが出してたシングルです。もちろんクラブ向けに作ってあるのですが、いわゆる黒っぽさは皆無。ニューウェーブの人が「ハウスってこうですか?わかりません」と思って作った感じが今となっては新鮮です。
そういや、その昔『ファッション通信』という番組があって、パリコレとかの速報などを放映していました。今もあるかもしれないけど。まだ80年代って、外人のヌードが日本人のヌードより古本屋で高かった時代だったのですが、外国のファッションショーってスケスケの服が多くて、それだけが目当てで大阪と奈良の県境でファッション通信を傍受しまくっておりました。まあスケスケはいいとして、そのときのショーのBGMって決まってアート・オブ・ノイズだったんですよ。「スケスケの服って街では全然見かけないほど前衛的だったのに、なんでBGMはそんな庶民派やの?」と思っていたのを覚えていますが、まさにその、ちょっと遅れてる感がいい方に作用している名盤です。なんかほめてないような書き方になっちゃったけど、いっぱい聴いてます><

廃墟系ノイズの佳作


A Con Cristal / Cranioclast (CoC / 12"EP)
オリコンで「廃墟の似合うアーティスト」のナンバーワンに選ばれたのがCranioclast (注:ただし、わたしの脳内のオリコン)です。87年に出た、いわゆるひとつのノイズ系名盤なのですが、近年の値崩れ具合は顕著で、日高屋でチャーハン大盛り+餃子二人前を頼むのより安い金額で手に入る。いやぁ…長生きはするものですなぁ…
ということで、音楽配信時代の今とはなっては、これ自体が遺産のように思える豪華仕様が泣かせます。廃墟写真と丁寧な説明が記してある豪華ブックレットがもれなくついてくる!ジャケットには廃墟の生写真が貼ってあるので乱暴にしないでね…なお、Cranioclast はアルバムのタイトルがアナグラムで"Cranioclast"になるようになっていて、ネタ切れしないかメチャ心配だったのですが、チョボチョボとリリースはしてるようです。
肝心の音の方はというと、M.B.みたいにミキサーに全部入れてペシャンコにした抽象的な電子ノイズではなくて、メタルパーカッションなど、わりかし具体的な音で構成されているため、聴き終わってもすんなりと現実に戻ってくることが可能であり、その意味において平日のランチの後に聞いても大丈夫なカジュアル神秘主義ノイズの傑作なのです。



ということで、ジャンルがバラバラで申し訳ないですが、中古盤の店などで見かけた際にはぜひご購入を検討してみてくださいまし![[]]