この本のターゲットは「かすかに残るニューアカの残り香を嗅ぎながら大学時代を過ごすも、没頭するには至らず、押し入れの中にデリダやドゥルーズの本がしまってある30代のサラリーマン」かなぁ…ということで狙い撃たれてしまったのですが、デリダとかボードリアールとか、なじみの顔が出てきて、えらカッコイイ(「えらい」+「カッコイイ」です。たった今発明しました!)思想家の言い分をわかりやすく引用しながら身近な出来事について語ってくれているので、「全くうだつの上がらない、いてもいなくてもいいサラリーマンであるぼくもえらカッコイイかも?」と思わせてくれるという点では、文化系サラリーマン専用の子守歌と呼ぶべき好著です。
- 作者: 木原善彦
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 2006/02/11
- メディア: 新書
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もちろん、この本の時代区分が不正確という話ではまったくなくて、矛盾した要素が同居しているのが現実なんだと思います。キャトルミューティレーションをしたり、人間を誘拐してチップを埋め込んだと見せかけて、最後には「核戦争イクナイ!」というアドバイスをくれる親切な宇宙人。ほとんどの人が、その矛盾した状況について、特に疑問に思うことはなかったわけですから、人間って不思議だなぁと思います。宇宙人はいいから人間についてもっと語り合いたい気分です。
ちなみに、この前、久しぶりに見たUFOの番組では、宇宙人の警告が「核戦争イクナイ」から「環境汚染イクナイ」に変わっていました。たぶん今年は、宇宙人たちは「格差社会イクナイ」と警告しにきてくれていることでしょう…って、大爆笑まちがいなしのジョークを飛ばしたものの、こんな下のところまで読んでる人なんていないんだろうな…本当に世知辛い世の中ですね。