ココロ社

主著は『モテる小説』『忍耐力養成ドリル』『マイナス思考法講座』です。連絡先はkokoroshaアットマークkitty.jp

井の頭池の水抜きを見てきたが、在来種の見た目が邪悪で外来種みたいに見えたり、自転車は環境汚染とあまり関係ないと思ったりした

井の頭公園の井の頭池の水抜きをやっていると聞き、まあ今行っても遅いから次回行こうかと思ったのだけれど、「次回行ってみよう」は「今度飲みにいきましょう」と似ていてよろしくない、と思って行ってきた。

今回の水抜きは、水質の浄化と外来生物の駆逐が目的らしく、行ってみたらボランティアの方々が生き物の捕獲を粛々と執り行っておられた。

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池のそばには入れないよう、オレンジ色のサムシングで厳重にガードされていて、よく見えないなぁ……と思っていたら、捕獲された生き物を紹介するコーナーがいくつか設けられていて助かった。
バケツや水槽に入れられている生き物たちは地味すぎるかグロテスクであるかのどちらかで、「気持ち悪い外来種やなぁ……」と思って札を見ると、意外に在来種が多かった。

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たとえばこの邪悪な亀、図体が大きく、日本の粋なイメージの対極にある、いかにも外来種然とした亀……と思ったらニホンスッポン。

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この、無駄に体が大きくて、なんでも食べそうな図々しいたたずまい、いかにも外来種……と思ったらヘラブナ。


つまり、「外来種=悪役=不細工」という三段論法は使えない。
「外来種=悪役」でもないし、「悪役=不細工」でもないのだから、「外来種=不細工」とはいえるはずもない。


もう一つのお目当ては池に廃棄されたゴミたち。
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自転車たちは、昨日はもっと多く見つかって撤去されたらしいけれど、1000台も見つかったわけではない。
たとえば100台としても、今回は25年ぶりの水抜きなので、年間4台程度になる。
あれだけ周辺に自転車と酔っ払いがいるのに、3か月に1台で踏ん張っているとしたら結構なマナーのよさではないかと思う。


この井の頭池は、湧水が集まってできていた池で、かつては水も澄んでいたようだけれど、今はご存知の通り。
水質が悪くなった原因は、写真を見た印象だと、ゴミを捨てる不届き者たちのせいのように思えるが、実際、自転車やお面が大量の毒毒エキスを放出しているというわけではない。

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原因の一つに餌やりがある。
池の生き物に餌を与えすぎたため、特定の外来生物が繁殖し、排泄物が水を汚したり、水生植物を食い荒らして自浄能力が低下したこと。
生き物に餌をやるのは楽しい、「わたしは世の中で必要とされていないのでは」という疑惑が頭をもたげたとき、生き物に餌をやることで、なんとなく心を落ち着けたいと思うのかもしれない。
生き物を可愛がりたいというのは嘘だとしても、悪意があってやっているわけではないだろう。

水質悪化の最大の原因と言われているのは、地下水の水位が下がってしまったこと。
台風のあと、地下水の水位が上がって、たちまち池の水が澄んだという事例もあるらしい。
これは地下水のくみ上げや、住宅地の拡大が原因で、これもまた、善意のしわざではないにせよ、悪意があってのことではない。

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親子が、「こんなとこに自転車を捨てて……ひどいねぇ……」と言いながらケミカルな柔軟剤の匂いをまき散らしていたのだけれど、この親子も吐き気を催させてやると意気ごんで柔軟剤を何杯も洗濯槽に注いでいるわけではなく、本人たちは「いい匂いだよねー」と思っているのである。
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400年続いた鉱山が華麗なる変身を遂げ、不思議地底王国「美川ムーバレー」が誕生した

岩国について調べると、錦帯橋の名ばかりが出てくる。
いままでよく見てこなかったから気づかなかったのだけれど、もしかすると錦帯橋は巨大な橋で、その中に岩国市街があるのではないか。
橋の斜面上に店舗を構える駄菓子屋は、スーパーボールだけは金庫に入れて管理し、店の外に跳ねていかないよう気をつけなくてはならない。
空港の名前が「岩国錦帯橋空港」だから、やはり橋の上に空港があり、傾斜のかかった滑走路には、キャリアを積んだパイロットしか着陸できない。

―などと、無知を装った嫌味を口にしてしまいたくなるほど、岩国については錦帯橋の話ばかりが書かれているのだが、読めば読むほど、橋のことは決して嫌いではないものの、夢に出てくるほどには橋が好きではない人は、きっと、「日本一おいしいはんぺん」を差し出されたときの気持ちと同じような気持ちになるに違いない。

しかし、日本一おいしいはんぺんを出す店が、同時に日本一おいしいちくわぶと、日本一おいしいつみれを出す店だと仮定すると状況は一変するだろう。


新幹線・新岩国駅からのエクストリーム乗換えで清流線へ

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新岩国駅のまわりには巨大なスナック喫茶があるだけだった。
きっと店先にはサンプルのナポリタンがあって、ほどよく脱色していることだろう。
隣で同じく色褪せている焼きそばとは、麺が縮れているかどうかで見分けることができるはずだ。
そもそもスナックという存在自体、わたしは行ったことがなく、紫色のベールに包まれている。
ここにさらに「喫茶」がつくとどうなるのか、意外と中和されて普通になってしまうのか、想像もつかないのだが、あまり時間がなかったので岩国清流線のホームに直行した。



清流線の新岩国駅は、新幹線から数分歩くとたどり着けるが、切符売り場も改札もなく、草が生え放題。一見すると廃線になったのかとすら思ってしまう。
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名もなき草たちよ……ここは現役の公共交通機関なんやで……。


―などと思っている間に電車がきた。
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電車はわずか1両だった。
1両で量的には十分だというのはわかるけれど、都会人の定義では、電車とは、15両程度のものを指し、10両くらいから電車とみなされなくなってきて、8両以下になってくるとバスと見分けがつかなくなってしまう。
1両の電車がいきなりやってくると胸が高鳴りすぎて初恋のときのようになってしまうので、可能であれば、事前に1を暗示させる数え歌のような音楽を流し、徐々に慣らしていってほしいと思う。


この清流線、存続が危ぶまれているのかと早とちりし、「岩国清流線にもっと乗ろう、共感した人はRT」などとツイートしてしまいそうになるのだけど、会社全体では黒字とのこと。随所に企業努力が見てとれる。
まず電車の塗装がかわいらしい。先ほどの電車の画像に戻ってみる。

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言うまでもなく、ホタルがかわいらしい。
車体の色とホタルの尻から出る光の色がかぶっているところは不問に附し、連結部に注目してみる。
児童が何やらこちらに向かってメッセージを投げかけているように見える。



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運行中、見どころに到達すると速度を落とし、「括目せよ」という意味のアナウンスが入る。
地元の人の割合の方が高いので、わたしが楽しまなかったらこの徐行は水泡と化す。
カメラを持つ手が震える。


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「かじかの滝」。
小規模な滝で、きっと鉄道が開通する前は「あそこの滝みたいなところ」程度の名前で、いい感じの名づけを考えてくださったに違いなく、おもてなしの心を受け取ったのだった。

バスを待っている間、河原に降りる

目的地に着くころには、すっかり清流線の魅力に取りつかれ、終点まで行ってしまいたくなったのだけれど、それはまた今度と思いなして根笠駅で降りた。

バスは本数が少ないのだが、清流線のタイミングに合わせている模様。
15分程度の待ち時間で済むなのだけれど、その間、川岸に降りてみた。
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遠くに釣り人がいるが、大声で「釣れますか〜」と聞いて「釣れるよ〜」と答えが返ってきたとして、わたしはなんと言い返すのが正解なのかわからないので、頭の中で「釣れるんだろうな」と思うにとどめた。


バスに乗って5分少々で「美川ムーバレー」に着く。
ここで降りないと、親切な運転手さんから、「ここで降りなくてどこで降りるの?」的なコメントを頂戴することになっているようだけれども、「運転手さんは、歌を聞くとき、いきなりサビの部分から聞き始めるのですか」と答えたいところ。
終点の岩屋観音で降りて、坂を少々登る。


日本最大級の水車が脈絡なく出現

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観音を見る前に立ちはだかっているのは巨大な水車。
この水車は、ふるさと創生事業(各市町村に1億円ずつ配布していた企画)で作られた観音水車「でかまるくん」。
直径12メートルの素晴らしい迫力のある水車で、ちょっと前まで日本最大だったらしい。
ただ、特に大きさを期待されていないものが大きかったら……たとえばラーメンに入っているナルトが麺を隠してしまうほど大きかったらうれしいか……いやラーメンが普通だとしたら、「ナルトが巨大」などでも構わないので特徴があった方がいい……。
……などという逡巡を経て、この水車は最適解なのではないかという気がしてきた。
一生分の水車を見た気持ちになった。


岩屋観音窟には、カイオウ的な意味で天然記念物の仏像がある

水車のすぐ近くに岩屋観音がある。
お寺の奥にお目当ての岩屋があるのだけれど、その前の階段が急なだけでなく仁王像の顔が恐ろしく、行く手を阻むような印象と阻まないような印象を受ける。
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皮が剥けていることで、男の子の健やかな成長を願うという意味なのか……などと深読みしてしまうかもしれないが、単に管理が行き届いていないだけなのだろう。
急進派のわびさび主義者はこの皮をも肯定してしまうのだろうか。

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「仏をだまさず」のメッセージと、それを支援するように吊られた千羽鶴たち。
……仏教には詳しくないが、仏様もfacebookのスパムアカウントを承認したりするのかもしれない。
プロフィール写真がない人をまず疑ってみるのがよいと聞く。

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少々暗いので写真がぶれてしまった。
この写真の中央部のソフトクリーム状のものが、天然記念物の岩屋観音。
この仏像は木製だが、長い時間を経て、石灰華に覆われた。
北斗の拳のカイオウの死に方に似ている。
こんなものが実在したというだけで来てよかったと思ったのだけど、地味すぎて伝わらないのが残念。
この手法を突き詰めていくと、即身仏となったあと、ここに置いてもらえればカイオウみたいになれると思ったのだが、そもそも2013年の時点でカイオウのたとえを口にしても、「カイオウって誰」と聞かれるだけ。
カイオウはどんな男かというと、アーノルドシュワルツネッガーを色黒にした感じのオッサンで、ケンカがめっぽう強いが、お人柄は今一歩な男。

地底王国の全貌

岩屋観音から坂を下ること15分、「美川ムーバレー」に到着した。
駐車場に、この謎の地下帝国の前身であるところの鉱山の説明がある。
約400年の歴史のある鉱山で、タングステンの産地としては日本一だったとのこと。
いま注目されているレアメタルなんだから、再開すれば儲かるのでは?という気もしたが、採算が合わないのだろう。
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廃坑になっていた山に、世界の謎めいた古代文明がミックスされ、「美川ムーバレー」というユニークなテーマパークが産声をあげたのだった。
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このテーマパーク、随所に謎めいたオブジェがあり、そこに書かれている謎の文字を解読する冒険をする、というのが常識的な遊び方のようだ。
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王国内に入ると、オーパーツについての説明のパネルが置いてあった。
"Out Of Place Artifacts"の略で、その時代にはないはずのアイテムで云々……。
この地底王国には、あちこちに世界のオーパーツがひしめきあっているのだった。

わたしは元ガリ勉で、オーパーツについては「入試に出そうにない」という理由から勉強しておらず詳しくないが、このテーマパークのおかげでいろいろ知ることができた。

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超古代文明を解説する世界地図。ピラミッドやマチュピチュなどに混じって、ちゃっかり美川ムーバレーも載っている。

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これはバクダッド電池。
紀元前の遺跡から、金属の棒が入った壺が発見され、「これは電池では?!」と大騒ぎになったのだが、今ではこの壺は、単に巻物を保存した容器で、金属は飾りだったという説が定説になっている。

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これはコロンビアの黄金スペースシャトル。
たしかにスペースシャトルに見えなくもないが、当時飛行機があったと考えるより、リアリティに無頓着な金持ちが鳥や魚をモチーフにした像を作らせたと考えるのが自然だろう。

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これはコスタリカの石球。
真球に限りなく近いものが古代にあったと話題になったものの、がんばり屋さんが作れば手作業でもけっこうな精度のものを作れることが判明したのだった。

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これはデリーの錆びない鉄柱、アショカ・ピラー。
1500年間風雨に晒されながら、まったく錆びていないとのことだが、地下部分については錆びているらしい。


なお、仮にデートでここに来るのであれば、ウンチクを開陳して相手を落胆させるよりも、不思議がった方が印象がよくなることは言うまでもない。

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「ああっ!トゲトゲが……とか思うわけなかろうが」と思って数分後、地図を見ながらこのトゲトゲで頭を強打したので、あまり過度の油断は危険。

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オーパーツの他には、神殿のようなものも設置されていて、家族連れの方は記念写真を撮っていたし、そもそも家族連れでないのはわたしだけだった。


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突然、ライトアップされた滝が現れた。
この水は坑内から出てきているのだろうか。
もし水道なら、費用がすごく気になって落ち着かないので、流量を控えめにしてほしいところだ。


鉱内の随所に置かれた謎の暗号

坑内の随所に暗号を記したパネルがある。
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こんな暗号を解いている暇があったら2次方程式の解の公式でも覚えていた方が得なのではないか、と思った。
しかし、そもそも2次方程式の解の公式も社会に出てから使うことはまずないのだから、知的活動のほとんどは何の得にもならないというあきらめが必要なのかもしれない。


タングステン鉱山の名残りも少しだけ

その道に詳しい人にしか鉱山時代の名残はわかりにくいのだが、唯一、トロッコがそのまま置いてあるところがあり、古の姿を彷彿とさせる。
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「これ、400年前の坑夫が見たらひっくりかえるだろうなー」と思いながら見ると、このテーマパークをいっそう楽しむことができると思う。

そして、あまりにも適当に歩いていると出口がどこにあるかわからなくなるので、最初にもらう地図は大事にした方がいい。
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夢中になってしまう砂金掘り

小1時間歩き回ると地底王国の旅は終わるのだが、出口付近にある砂金掘り、実際にやってみると想像よりもはるかに楽しかった。
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砂金はこってりコースとあっさりコースがある。
わたしがそう呼んでいるだけだけれど。

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本気で砂金掘りは恥ずかしい、という方は入水せずにあっさりコースで砂金を掘ることもできる。

しかし、本気で砂金を掘るのであれば、長靴を借りて池に入るこってりコースを志願し、腰を痛めながらがんばる道をゆくのも悪くない。
やり方はいたってシンプル。

この皿を、なるべく底に突っこんで砂をさらう。
金は比重が重く、底に沈殿している可能性が高いから、最底辺を狙えとの指示を受けた。

砂をさらったら水の中で回しながら砂を減らしていく。中腰で皿を回すのは重労働。

皿の底が見えるようになってくると、キラリと光るものあり!
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あっという間に制限時間の30分が経ってしまった。
掘った砂金は100円払うと自分でカードにすることができる。

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わたしは2片の砂金を掘りました。砂金掘りの才能があるのかもしれない。
しかし、いい歳でそんな才能を見つけたとしても、いままでの時の重さが身に染みて、ため息が出るばかりだろう。


昼食は「レストラン・ムー」で、インカコーラとピラミッドカレーをキメる

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観光地のレストランといえば、不当に高価格な料理と相場が決まっているのだが、ここは料理がオール500円という破格の設定で、そこまで出血されたら止血しないわけにはいかない。


この店ならではのメニューはピラミッドカレー。
店内の自販機でインカコーラを買えば当時のエジプト人とまったく同じ食事になる。
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なお、最近の研究結果では、ピラミッド建設に携わっていた人夫は、奴隷ではなかったとのことで、その意味でも安心していただくことができる。


バスが来るまでの間に入浴も可能

「美川ムーバレー」には、「ほたる」という宿泊施設も用意されており、サイトのスケジュールを見た限り、週末は比較的埋まっている。
バスの待ち時間は、ここで入浴して謎解きをしたりしなかったりした疲れを癒すのもいい。


錦帯橋は、ガイドで見るより危険

帰りの清流線では、岩国駅まで行かず、川西駅で下車した。錦帯橋へ、徒歩20分ほどで行けるからだ。
岩国駅からバスで行くと、降りてすぐ錦帯橋が近くで見られるのだが、徒歩の方が、木々によるチラリズム的演出とともに徐々に見えてくるので気持ちが高まる。
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錦帯橋は、川幅200メートルの錦川にかかる橋で、創建が1637年。
何度か再建されたり修復されているけれど、400年近く前なのに、30メートル以上の距離を脚なしで渡せる技術があったとは驚き。

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下から見ると、斜めに組んでいる木がある。これが強度を増しているのだろう。


「有名な観光地=安全」というイメージがあるが、錦帯橋に限っていうとまったくそんなことはなく、スリルすら感じられるほどの高さ。
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こんな透明度の高い川に落ちたら、痛みはさておき、丸見えで恥ずかしいのかもしれない。

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錦帯橋の滞在時間は橋を渡って川岸に降りてしゃがんでブツブツしゃべっても1時間程度。
昼間に行くと時間を持て余すだろうから、早朝に行って、そのあと美川ムーバレーなどに行くか、あるいは美川ムーバレーに行ってから錦帯橋、などがいいと思う。

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夕食は、岩国駅前の一等地にあるざっくりした看板に導かれて中華そばの店「寿栄宏食堂」に入ってみた。

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食べログでは「懐かしい味」的な評価で占められていて、つまりは思い出がない者にとってはおいしさ控えめなのか……などと勘ぐってしまったのだが、この店が家の近くにあったらめっちゃ通ってしまうやろなと思えるほどいい味。
渋谷の道玄坂にある有名な……なんやっけ、よりも好きな味。

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岩国に来てよかった、などと、すっかり真夜中になった気分で一日のまとめをしながらアーケード街を歩いていたのだが、このときはまだ19時だった。


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東京都内。「名水百選」に選ばれた湧水を体感&民家で「足打ち」うどんを食べる


「名水」というと、ハンバーグが好きそうなタレントが「この水、甘いですね!」と、わかったようなコメントをすることを強いてくる不思議な液体として知られていますが、その澄んだ液体の所在地として想起するのは四万十川なのかもしれません。しかし、東京にも「名水百選」に選定された地域があるのをご存知でしょうか。それが国分寺なのです。
まあ、水だけだったら富士山のおいしい水をマルエツで買ってくればええやん(関西在住の方は「六甲のおいしい水をサカエで買うてきたらええやん」と読み替えてください)という話になりかねませんが、水以外にも見る場所がいろいろあるので、近くに立ち寄った際はご検討くださいませ。

まず、強烈なコシの「武蔵野うどん」を民家で食べます

今回はおもに駅の南をめぐりますが、その前に北口から出て、せっかくの武蔵野ですから武蔵野うどんを食べます。
讃岐に行って讃岐うどんを食べずにおれますかという話です。お店の名は「足打ちうどん処 七」。人気店なので、開店時間の11時(平日は11時半)に行くことを強くおすすめします。駅から北に15分ほど歩きます。
国分寺駅は、丸井と合体していて、最寄り駅が何とも合体していない人にとっては大都会に思えますが、5分も歩くと、ゴーストタウンのような空間が出現。

▲この店、気になりますね……最近のラーメン屋は武士を思わせる店名が多くてどうにも気持ち悪い……と思っている方にはうれしい店です。



▲10分程度歩いて地図に示されているのはごく普通の民家。ここが「七」なの?あんたもナナって言うんだ……NANAを読んだことがなく、最近の若者の気持ちを知るために読まなアカンなどと思っているうちに時は流れ、当時の「最近の若者」たちはすでに若くなくなってしまい、読む必然性がなくなってホッとしている……などと思っている間にもどんどん近所から人がやってくるので、ここを七と定めて急いで入ります。
幸か不幸か足でうどんを打っているところは見られませんでしたが、「手打ちうどん」があるのに「足打ちうどん」がこの店の他にないのは、やはり「足打ち」に不潔なイメージがあるからでしょうか。手には雑菌がつきやすく、場合によっては性器よりも不潔であるという説もあるので、足打ちうどんが手打ちうどんと比較して特別に不潔ということはないはずですし、体のどの部位でうどんを打とうとも、衛生管理は徹底されているはずなので、職人さんが打ちやすいと思った部位で存分に打てばよいのであって、食べるわれわれもつまらないイメージに囚われてはいけないのです。
店に入ると、靴を脱ぐべきかどうか悩みますが、そのまま土足であがりこんで大丈夫です。なぜなら、店内ではEXILEや西野カナのプロモーションビデオがけっこうなボリュームで流しており、店がわれわれの心の中に土足であがりこんでくるからです。成形肉のステーキを想起させるこれらの音楽をお好みでない方にとっては、こんな音楽を聴きながら食事をするなんて論外、という気持ちになるかもしれませんが、これはよかれと思ってしてくださっているのですから、軽く体を揺すりながら待つのがマナーと言えるでしょう。

なお、この店、ラーメン二郎程度の知識は要求されます(注:ラーメン二郎は、マニアが言うほどには知識が必要とされないという認識です)。食券を買うシステムなのですが、「小」と書いてあるものが通常の並の量なので、太りたいと思っている人以外は「小」を選び、買ったら、店内の座席図の自分が座る予定の位地に券を置きます。
西野カナさんの、要約すると「きっと幸せになれる」的な歌を聴きながら待っていると、幸せの具現化であるところの武蔵野うどんが、かき揚げと肉汁を伴って颯爽と登場。


▲武蔵野うどんらしい、カミカミしがいのある強いコシです。かき揚げはボリューム大。出口付近にビニール袋があり、持ち帰ることも可能です。名水を見ながらかき揚げを頬張るのが好きという特殊な性癖をお持ちの方は利用してみてはいかがでしょうか。

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お鷹の道沿いに名水をさかのぼります

満腹中枢が十分に刺激されたら、南進して駅の反対側に向かいます。
ここから名水を求める旅のスタートやで〜!。


▲駅の南、マルエツとファミリーマートの間の道を下っていくと、ほどなくして川が交差する不動橋にあたります。
太いほうの川は野川。かつてわたしがプラナリア捕獲用の罠を作って置いたものの、何もかからなかったという因縁ありの川です。
細い方の川というか用水路をさかのぼる道が、江戸時代の鷹場への道で、「お鷹の道」と名付けられています。
「おたか」というと土井たか子を想起し、「行くっきゃない!」と言いながら歩いてしまいますね。



▲この用水路、ホタルが住んでいて、随所に「カワニナ採集禁止」の看板があります。
あんなタニシみたいな地味な貝、誰も取らへんよ、と思うのですが……



▲清流の中でうごめくカワニナの姿を見ると触角が出てちょっとカワイイかも、と思い、出来心が芽生えてしまうので、やはり採集禁止の看板は必要なようです。


▲用水路をゆったりと10分ほどさかのぼると、湧水源に辿りつきます。






▲ここが湧水ポイントです。名水に選定されるだけあって透明度が高い。
モニタリング的なことをしているらしいので、水を採集するときは川を汚さないよう注意が必要です。



▲すぐ近くには「真姿の池」があります。要約すると、「美女→病気で顔が不細工に→この池で洗う→美女に戻る」という伝説の池です。
おそらく食生活を改善したりしたので美女に戻ったのだとは思うのですが、どうせ伝説を作るのなら、元があんまりな感じの人が美女になる伝説の方が普通の人の食いつきがよいのでは、と思います。




▲透明度の高い池の中で、カメやコイが我が者顔で泳いでいます。
水がきれいなところにふさわしくないメンツであることは否めません。



湧水ゾーンの近くにAZUMA-YAがあります。そこで休んでもいいのですが、荷物をそこに置き、靴を脱いで川に入ると気持ちいいです。
湧水なので真夏でも冷たくて気持ちいいです。なお、多少の人通りがありますが、気にする必要はありません。人目を気にして川に入らない人生なんて!



▲なお、足が小さく見えるのは、アホみたいに裾の広いベルボトムを履いていたからです。
この川に入ると足が小さくなるわけではないのでご安心くださいませ。

かつて最大級の国分寺だった武蔵国国分寺の面影を感じとります

国分寺は国分寺というだけあって国分寺があるのですが、現存する国分寺は、後世に作られた薬師堂。
最初の創建は、8世紀にさかのぼります。そのあと、火事になったり戦乱に巻きこまれたり仏教がどうでもいいと思われたりして、本堂と薬師堂のみというミニマムな構成で生きながらえております。
金堂やらなんやらのあった場所は、公園、というか、野原になっていて、寂れた場所が好きな人にはたまらない絶景です。
関西出身で、平城宮が好きだった人は間違いなく気に入るはず。



▲本堂はもともとはなかった建物で、江戸時代に建てられました。写真に写っている爺の、後ろに布がついている帽子、ルソン島をイメージさせますが、どこに売ってるんやろ……。
売ってて買うかどうかはわからんけど。

本堂は外から見るだけなのですが、境内のジャングル状になった万葉植物コーナーがにぎやかで楽しいです。

▲もはやどの植物がどれを指すのかは不明ですが、説明しようというその心意気だけで飯三杯くらい食べられそうです。



▲本堂を出てすぐ右には仁王門があり、薬師堂に行くことができます。
こちらは14世紀に建てられたものなので、古ければ古いほどよいという価値観を仮に採用するのであれば、本堂よりよい建物ということになります。



▲門の中のa&unは、怒りのあまり眼球が濁っております。特にaの方は割れていてお尻を想起させます。
やっぱり怒りすぎるのってよくないですね。「正義感が強いがゆえに怒りっぽい人」と「悪事を見逃してしまうが物腰は穏やかな人」だったら圧倒的に後者の方がいいのですが、前者の人の多くはそれに気づくことなく、陰口を叩かれながら一生を終えるのです。



▲そしてこの門には、ミツバチの巣についてのうれしいお知らせがありました。
「蜜蜂注意!」を、「注意してミツバチを観察してみよう!」という意味ととらえました。
なぜなら、単純に「ハチの巣注意!」あるいは「猛虫注意!」と言えばいいものを、ハチの種類にまでわざわざ言及しているし、しかも親しみやすい丸ゴシック体です。
昆虫が好きという気持ちは隠そうと思っても隠しきれないようです。



▲どうやら、柱に空洞になっている場所があり、そこが巣になっている模様。
せっせと仕事をする働きバチの姿に、平日の自分の姿を重ね合わせてしまいますね。



▲よく見たらきのこ状のものがある。こういうところのって必要以上においしそうに見えて困ります。食べないなら分けてくれ!




▲門から階段を上がると薬師堂です。誰もいないのですが、毎年10月10日の御開帳の日以外は何もありません。
なお、10月10日に土日があたるのがいちばん早くて2015年なので、覚えていられるか自信が持てない。



▲この手のを見るたびに、「フランスやイギリスの人とここに来るときはこのマークの説明をしといた方がいいんやろうかどうやろか……」と迷ってしまいますが、わたしには外国人も含めて友だちはほとんどいないため、心配にはおよびません。



▲退屈した場合は、建物の後ろに回ってみてください。
お地蔵さんコーナーがあって、ワイルドな修復ぶりに微笑みが漏れることでしょう。
スペインで勝手に修復されたキリストの絵の立体版のような趣があります。



▲なお、本堂の前に楼門がありますが、これは東久留米市の米津寺にあったものを明治期に移築してきたもので、紛らわしいところが素晴らしいです。
フッ素とフッ酸くらい紛らわしい。

武蔵国分寺跡資料館でイマジネーションを培います

このあと広大な国分寺跡を歩きますが、その前に武蔵国分寺跡資料館の写真とジオラマで、どこに何があったのかを把握しておきます。



▲ここでの学習により、このあとの旅での感動の深さが変わってくるので、真摯に向き合いたいところです。



▲また、ここには七重の塔の模型が立っています。
これを脳裏に焼きつけるか、写真を撮るかすれば、七重の塔の跡に着いたあと、妄想を爆発させる準備は完了です。

礎石からニョキニョキ講堂や七重の塔が生えているところを想像します

楼門を出て直進すると、思わせぶりな空き地が見えてきます。
これらが先ほど見たジオラマの講堂やら七重の塔に相当するので、「今は空き地だが昔は……」とイマジネーションを全開にします。




▲ここは金堂の跡。
何もないですが、ここの金堂、36.1m×16.6mもあったらしいです。
すごい広さやなぁ……と思いながら緑の地面を見てください。
そうしないと単なる空き地です。



▲礎石はよく見ると、梅干しに似ていてかわいい。



▲ここは七重の塔の跡です。生えている銀杏の木もたいがいな大きさでですが、塔の高さは60メートルあったと推定されています。いまの法隆寺五重塔の倍の高さで、武蔵国国分寺がいかに重要であったかを物語っています。
せっかくなのでオリンピックの招致などにお金を使わず、この塔を再建したりしたら西東京のシンボルになっていいのではと思います。四天王寺の塔も鉄筋で建てなおしていますしね。

お客さんがまばらでゆっくりできる殿ヶ谷戸庭園も見逃せません

ここまででもいい旅ですが、まだ時間がある人は、行きしなにチラ見えした庭園、殿ヶ谷戸庭園に立ち寄ってみることをおすすめします。三菱の岩崎家の別荘だったところです。
今や入場料100円を払えば、発言小町の「わたしの夫は年収2000万円で……」の煽りに本気で腹を立ててしまうような平民でもゆっくりすることができます。ありがたや……。


▲この庭園は、「回遊式林泉庭園」とのことで、北斗有情破顔拳(注:トキというキリスト似のオッサンによる拳で、死ぬときに痛くないというか気持ちいいらしい)みたいですが、武蔵野特有の、崖の下の谷のところから湧き水が出てくるという地形をうまくいかして作られた庭園なのです。六義園などに比べると高低差があってワクワクします。


▲バンブーに意識を集中させると京都かどこかに来ているかのような気分になることも不可能ではありません。




▲雑草が生えすぎでピンとこないかもしれませんが、ここから湧いている水は「次郎弁天の清水」と呼ばれる名水。



▲当時の別荘をだいぶ縮小した紅葉亭も見学可能です。小学校の図書室の匂いがします。
ここで、再開発計画への反対運動があり、その成果として作られた庭園であることを示す黄ばんだ資料が満載。ありがたや……。



▲道路をはさんで庭園の向かいには、国分寺マンションが建っていて、高度経済成長期の文化遺産のような風格があります。朝日屋洋品店とか入ってそうやなと思ったら本当に入ってた。
よく考えてみたらわたしが今住んでいるマンションもこんな感じやわ……。見た感じはいいけど古いマンションって備えつけのコンロが古くて火力弱かったりするのが難点なんだよなぁ……などと思いながら帰途につきました。


今後も都内の地味で楽しいスポットを紹介していきたいと思うので、また見にきてくださいね。

ごく少人数の若者が起こした事件から若者論を語る怪しさと楽しさ


ここ数週間、食料品を扱う店で不潔とされる行動に及んだ証拠写真を載せている件を話題にしている人を多く見かけます。
アイスを入れるところに入った件については、アイスを開封して局部を突っ込んだわけでもなく、一般的に、セックスしたあと手を洗ったりせずにアイスを食べたりすることも多いものですし、そもそもセックスをしたあとに手だけを洗ったりしたら、「おまえは汚い」と無言で言っているのと変わらない気がするので、むしろ手を洗わないように気をつけたりもすることもあるほどなので、ケースに入るくらい別にいいやん、と思い、また、ラーメン屋の裏でソーセージを噛んでいる女の店員の写真を見て、まずラーメン屋でソーセージというのが不可解で、もしかするとその店は、ソーセージをいったんほどいてミンチにし、それを焼き豚状に成形して叉焼麺を出したりしているのだろうか、だとしたら行ってみたい気もする、そして、この店員が自分の好みの店員であったとしたら、ソーセージでもなんでも噛みなさい、置かれた場所で咲きなさい、と思うはずで、いまそう思っていないということは、外見で人を差別したことになるのだろうか、などと思い悩んだりもしたのですが、概ねどうでもよい話です。

―などと、長ったらしい文を書くと、また、東大を出ているくせに要領を得ない文を書いているなどとツイートされかねないのでほどほどにしておきます。仕事でもないのに要領を得た文を読みたいと思う貧しい感性の持ち主に配慮せねば文を読んでももらえない、というのは、主観的には言論が弾圧されている状態とさほど変わらないのですが、その話はまた別の機会にするとして、「食料品を扱う店で不潔とされる行為に及んだ写真を自分で載せて話題になった」件をもって、若者を批判したり分析したりする人が跡を絶ちません。しかし、その件数はといえば、ざっと見積もってここ数週間で10件にも及んでもいません。いやいや、ここ数週間の話だけじゃない、おまえは某ファーストフード店で平べったくて光っている害虫を揚げたとmixiに書きこんだ事例や、某牛丼店で、豚丼の大盛りの限界にチャレンジした画像がアップロードされた事例などを忘れたのか、と主張する方もいらっしゃると思うので、過去のものを合わせてみたとして、それでも100件にも満たないのではないでしょうか。わたしが脳内で独自調査をして、この100件という数字について比較してみたので、我慢して読み進めてください。

・昔は「大人は若者の気持ちを理解しない」などと言っていたのに、歳を取ったら「最近の若者は」と口走ってしまう人の数…推定2825万人
プッチンプリンをお皿に移さず、食べ終わってから、一応、裏のプッチン部分をプッチンしておく人の数:推定67万人
・「通常の3倍」と言ったらその面白さが通じなくて、若者に「なんで3倍なの?」と返され、ガンダムについて解説して若者をしらけさせてしまう人の数…推定17万人
・ルンバに掃除させたあと、「仕上げ」と称してハンディ掃除機をかける人の数…推定8万人
・アマゾンの空箱で卑猥なトーテムポールを作ったことのある人の数…推定230人
・食料品を扱う店で不潔とされる行動に及んだ証拠写真を載せた人の数…推定100人
・ゴキブリの触角を集めた筆で書初めをした人の数…推定30人

なんと……むしろ「最近の若者はグローバルな感覚でものを見ることができ、行動も慎重である」……と言いたくなってしまうような結果が出ました。実際、今の若者は授業で外国の先生と話す機会もありますし、若年層の犯罪数も年々減ってきていますから、どちらかというとその方が信憑性が高いかもしれません。

ごく一部の例を取り上げて「最近の○○は××だ」と断じたくなる気持ちもわからなくはありません。なぜなら本当に最近の○○が××なのかの統計を取るのは面倒ですし、調べた結果、「最近の○○はそんなに××ではなかった」ということになると、書くことがなくなって困ってしまいます。書く側は、常に社会に問題を見出していないと失業してしまいますし、読む側としても、「最近の○○をケチョンケチョンに言っている記事を読んでスッキリしたい」と無意識に願っていたりもするので、楽しいといえば楽しいのですが、わたくし的には、健康的に読み書きしていきたいなとも思います。
また、今回の事件の本質である、無自覚に放火して、燃えたら「炎上」と呼んでしまう件、ここにもメスを入れたいのですが、それはまた別の機会に書かせていただきますね。


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「大阪出身です」「え〜!見えない!」プロブレム


こんにちは。ココロ社です。
大阪生まれで東京にきて20年以上経って、今は神奈川にいるのですが(過ごしやすくて気に入ってます)、たまに出身を聞かれます。ぼくは人の出身がどこかについては興味を持てなくて、興味があるのは下半身についてのみなので、出身を聞かれるたびに、出身なんて聞いて楽しいのかしらと思うのですが、裏を返すと、「出身の話くらいしかすることがないくらい相手が退屈している」ということなのではないかと思い、もっと楽しい話ができるようにならなアカン……と反省します。


それはともかく、出身を聞かれて「大阪」と返したときの反応をベスト3形式で書かせていただくとこうです。


【第3位】「ウソ!いま大阪弁で話してないじゃない」
大阪人の全員が東京にきても大阪弁で話すと誤解している人はこう言います。こういう人に、明石家さんまは奈良、ダウンタウンは兵庫出身であるという話をすると多少受けますが、「じゃあ今から大阪弁で話すから自分も大阪弁で話すんやで」などの方が受けがいいです。


【第2位】「昔、USJ行ったことがある〜」
行ったことがある大阪の地域を言うパターンです。なかでもUSJが挙がる率が高い。行ったことないので知らないのですが、ディズニーランドをバイオレントにしたような場所でしょうか。本当は「一心寺行ったよ〜」って言ってほしいところやけれども……。


そして第1位は……タイトルにしているので引っ張っても意味はないのですが……。
【第1位】「え〜見えない!」
……です!
「え〜見えない!」さんには、いぶりがっこを乾燥させて作ったトロフィーと、副賞としてマロニー1年分を贈呈します!



―しかし、「ウソ!」もそうですが、「え〜見えない!」は、出身として他の地域を挙げたときにははまず考えられない反応です。「京都出身です」「え〜見えない!」はないですよね。「大阪出身です」「え〜……でも、京都(or神戸)っぽい感じがするよね」はあります。
単に「そうは見えない」というのであれば、その地域を聞いて抱くイメージとギャップがある、というだけなのですが、残念なことに、「●●歳です」と言ったときの「え〜見えない!」と比べて見事にセイムワード&セイムアクセントなのです。


つまり、「大阪出身です」「え〜見えない!」の意味は、「あなたはとてもそんな侮蔑するような特徴を備えているように見えないほどすてきです!」という、四次元における社交辞令なのです。よかれと思って言っている感じが伝わってきて複雑な気持ちになってしまいます。「複雑な気持ち」だと、何も言っていないのと同じなので、その複雑さを箇条書きにしますと、

・相手はほめるつもりで言っているというのは大前提。悪意はない
・しかしこの人がぼくのホームタウンであるところの大阪を蔑視しているのは明らかである
・まあ特に郷土をけなされても平気なのでええんやけども
・とはいえ、悪意がない差別ほど恐ろしいものはないので、ここはちゃんと言っておくべきか
・この人が大阪を侮蔑しているのは、「厚かましい」「下品」という類型化されたイメージによるものだろう
・つまりぼくは「上品だ」と思われているのだ
・それってものすごくポジティブに考えると「あなたが好きよ」ということだろう
・だとしたら「侮蔑されながら愛される」>「侮蔑されもしないが愛されもしない」かもしれんねー
・そういう目で見てなかったけど、この人、美人かそうでないかのふたつにわけると……美人?
・いやいや、少々見目麗しくてもデリカシーなし子に愛されてうれしいか?話がかみ合わないだろう……
・そもそも「見えな〜い」だけでそこまで考えるなんて自意識過剰にもほどがある……たかが人生に、コストをかけすぎである


……などという逡巡を、この「見えな〜い」発言のたびに経ていたのですが、返事の仕方として

「大阪出身です」
「え〜見えない!」
「そうかなー。ところで出身はどこなの?」


と、簡単に返すことにしました。そもそも出身の話を聞かれているという点で、相手は話が合わないと思っているに違いないので、自分の話をして相手に相槌を打たせるよりは、相手に話してもらってこちらが適当に相槌を打つ方がなんぼかマシかなと思うからです。郷土愛満載な大阪人にとっては悲しい話なのかもしれませんが、郷土でしか自分をアイデンティファイできないというのもそれはそれで残念な生き方だと思うので、コスモポリタンとして強く生きていきたいところであります。

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シェフも納得、ウルトラ究極エレベーターの案を無料公開


こんにちは。
エレベーターについて正論を述べておかなくては地球が危ない……という気がしたので夕飯を早々に切り上げて書きました。ぜひご一読ください。

エレベーターの「開」「閉」ボタンが紛らわしくて押し間違えるから新しいインターフェイスを考えよう……という話が定期的に話題になります。わたしも、これらの話をはっはーん、ふふーん、アッハ〜ン、ウッフ〜ンと思って聞いていたのですが、どうも匂います。重要なことを隠しているように思えて仕方ありません。わたしの鼻が陰謀を嗅ぎつけました。まあ急いで生きても仕方ないので陰謀については後で語るとして、まずは話題の「開」「閉」ボタンについて簡単に結論を出しておきましょう。

なぜエレベーターに「開」「閉」ボタンが必要なのか

原点に立ち返ってみてください。弥生時代のエレベーターには、「開」ボタンもなければ、「閉」ボタンもないし、階を示すボタンもありませんでした。誰もが貧しかったけど、夢を持っていたあのころ。エレベーターには何もついていなかった。そもそも「弥生時代にエレベーターが存在した」と主張しているのがこのわたしだけという惨状ですから……。
当時のエレベーターは、あの卑弥呼ですら挟まれ放題だったのです。開発途上のエレベーターは閉まるときにまったく手加減がないですから、卑弥呼先生もよく頬に赤や紫の線をつけていたものです。しかし首長が挟まれていては面子が丸つぶれであり、国の存亡にかかわる、ということで、「開」ボタンができました。そして、そのだいぶあと、鎌倉時代に、幕府のエレベーター部門が予算を消化できなくなりそうになって思いついたミラクルが「閉」ボタン、つまり、その是非について論ずる必要もないというこということなのです。

落ち着いて考えると、「開」ボタンも「閉」ボタンもいらない

「えらい人をはさまない」という目的で成立した「開」ボタンですが、それでも挟まるえらい人が跡を絶ちませんでした。エレベーターに挟まりたいがために出世したのではないかと疑われるほどに何度も何度も挟まれ、頬がこけてたようになってしまっているえらい人もいたくらいです。その原因はというと……「開」ボタンそのものです。なぜえらい人はエレベーターに挟まれてしまうのでしょう?図を用意しておりますのでご参照ください。

……図が分かりにくくて最初から文章で説明した方がよかったですね。「えらい人ほど死角から現れるから挟まれる」ということなのです。そして、それを防止するためには、エレベーターの外の事情通であるところの、ドアの前に立っている人が手でドアを止めた方がいいのです。その方が印象もよい。自分がえらくなったところを想像してみてください。挟まれそうになったからといって、「開」ボタンを小指でピッとされたら馬鹿にされている気分になるでしょう?俺が挟まれそうになっているんだからお前が全身で止めろよ……と思うはずです。本気でそんなことを思う人がいたら病院に行った方がいいと思いますが、つまり、「開」ボタンはあまり合理的でないということなのです。


晴れてお役御免となった「開」ボタンと「閉」ボタンですが(長い間ぼくたちの手を煩わせてくれてありがとう!)、ここからが本題です。エレベーターの話というと「開」ボタンと「閉」ボタンの話をする人が多いですが、あの紛らわしい兄弟のせいで、われわれは大事なことを忘れてしまっています。

エレベーターの根本問題から目を逸らしてはならない

……そう!そうです!エレベーターの根本問題、それは「重量オーバーのブザーを恐れるあまり、まだ乗れるはずのエレベーターを見送ってしまう」という現象です!重量オーバーのブザーが鳴ると、なぜか体重が重いと指摘されたような気がして、「ブー」というブザーの音が「デブー」と聞こえてしまうあの現象です。エレベーター1台につき、1日4人が遠慮したとしましょう。日本には60万台以上のエレベーターがあるので、1日に240万人以上がエレベーターを見送っているのです。なんという不幸でしょう……。この240万人の前では、「開」ボタン「閉」ボタンがわかりにくいことなど、微々たる問題でしかありません。むしろ落ち着いて見たら「開」ボタンと「閉」ボタンくらい見分けられるはずです。この、より重要な課題についての代案を用意したので、エレベーター関係の人や、あまり関係はないですが、エスカレーター関係の人もご一読ください。




(1)あと何人乗れるかをエレベーターの外側に表示する

真ん中が大きくなっているのは善光寺式の仏像をイメージしたからです。あと3人以上乗れる場合は、3つとも点灯していて、2人、1人となっていると人が消え、もう乗れない場合は「満」の字が出るという仕組みです。
なお、この1人分は80キログラムにあたります。つまり、少々体重が重めの人でもブザーが鳴らないようにできているので、点灯しているときは安心して乗れるという仕組みです。





(2)ブザーが鳴っても「太っているからではない」ことが伝わるようにする
エレベーターのブザーが鳴ることは恥であると考えてしまう人が多いです。乗りすぎのブザーは、単に乗りすぎであることを示しているだけのはずですが、あまりにも無機的であるため、「単なる乗りすぎのサインのはずだが、もしかして、乗る人の肉付きや自意識のありようをサーモグラフィーか何かで判定して鳴らしているのではないか?」という疑惑が頭をもたげてくるので、きっぱりと「体重が重いわけではない」あるいは「体重が重いことは恥ずかしいことでもなんでもない」と明言してあげることが大切です。
いろんなバリエーションの音声ファイルを吹きこんでみたので参考にしてみてください。
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(3)より恥ずかしい歌を流して、ブザーのことは忘れてもらう
エレベーターに乗れなかった人は人々の記憶に残ります。乗れなかった人としてはすぐ忘れたいはずなのに……。エレベーターのBGMとして、エレベーターのブザーが鳴ることよりも恥ずかしいシーンを描いた歌を流すことで、「ああ、さっきの人の恥ずかしさなんて本当に取るに足らない」と思ってもらえるのです。こちらも参考例を吹きこんでみたので参考にしてみてください。
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今回は、エレベーターについて前向きな提案をさせていただきましたが、エレベーターに関するみなさんのモヤモヤ感が晴れることを願ってやみません。もともと誰もモヤモヤしてないような気もしますが……。


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企業もブラック風味がすぎると顧客が引いてしまう


いま実施中のマクドナルドの「60秒以内に提供できなかったらハンバーガー無料券プレゼント」のキャンペーンがインターネットのヘビーユーザーの間で不評です。頭で考えると、「早く提供できると回転率が上がって売り上げが増えるし、お客さんも待たずにすむし、もし待つことになってもお客さんは得をすることになるし、みんな得をする」企画のように思えますが、どうも反応がよくない。日本全体としてはどうかというと、必ずしも評判が悪いとは言えないかもと思います。満足しているお客さんは、あえて普段使っているチェーン店について「よかった」などと口にしないからで、インターネット=巨大なお客様相談センターだからです。とはいえ、企業がお客様相談センターで承ったご要望を無視すべきでないのと同様、ネットでの声も一聴に値すると思うので、今回はその話をさせていただきます。


今回の件に関してまずひとつ意外だったのは、インターネットのヘビーユーザーは忘れっぽいということです。2ちゃんねるのスレッドで、それなりに人がいるだろうに、10年前に同じキャンペーンがあったことを指摘する人がほとんどいませんでした。マクドナルドがカレーを出してて山田邦子がCMに出てたよねー山田邦子って昔『幸せにしてよ』という番組をしていたが今だったらフェミニストにしばかれるようなタイトルやな、とか、マックチャオとかいうチャーハンもあったなぁとか、そこまで思い出すのは難しいにしても、10年前にマクドナルドを利用していた人の方が多数派だっただろうに不思議な話です。忘れていたにしても、過去のキャンペーンについてちょっと検索すれば出てくるはずですが、健忘症を装うことで文句を言う権利を得られるのですから思い出すだけ損なのかもしれません。


10年前のキャンペーンも当然ながらインターネットでは叩かれていました。今回実施したということは、当時もまた評判は悪くなかったんだろうなと思いますが。叩かれているといっても、いまとはちょっと論調が異なります。わたしは当時のキャンペーンは「本当にやってるんだー」と思ったくらいで、特に嫌な気持ちはしませんでした。当時の2ちゃんねるのスレッドはこちらです。


忙しい人のためにざっとまとめると、このときは、「マクドナルドはまずい。安いだけなので早く出されても行かない」という意見が多かったのです。「アルバイトの人かわいそう」という意見もありますが、まだ少なめです。
わたし自身はマクドナルドが特にまずいと思うことはなくて、月に1回くらい食べたくなる、カップヌードルや天下一品と同じ位置づけの食べ物で、まずいという人がふだん何を食べているのかを知りたい気がしますし、おそらくマクドナルドの基本メニューの味を変えたら、たとえおいしくなったとしても、小さいころから慣れ親しんでいたお客さんが来なくなってしまいます。それはともかく、前回のキャンペーン、60秒を超えたらポテトの無料券がもらえましたが、今回のキャンペーンは「バーガー類はなんでも」で、サービスはかなりグレードアップしていますが、むしろ評判はよろしくない。ここなどの反応をざっとまとめると、

・早く出そうと思うあまり作るのが雑になっている
・社長は何を考えているんだ
・アルバイトの人がかわいそう

というところでしょうか。「作るのが雑になっている」話については、明らかに日本のものではない写真を載せている人もいたりするので、キャンペーンがないときと比べてどれくらい雑なものが増えているのかなと思いますが、問題なのは2番目と3番目。2番目については、10年前は原田社長はまだアップルにいたころで、原田社長のジャストアイデアというわけではないし、自分が経営者だったら「久しぶりにあれやるか」という話をしたと思いますが、10年前の反応とは違って集中砲火を浴びています。客としてはそんなに損しない話だというのに。
そして3番目については、わたしも同じ意見で、最初にこのサービスについて聞いたときに、「なんか店の人がかわいそう」と思ってしまいました。10年前にはそこまで思わなかったのに。10年前というと、まだ「就職氷河期」という言葉が使われていて、つまり間氷期がこの後にくることが前提のネガティブでありながらも実はポジティブな言葉が使われていた時代です。


つまり、ここ10年で、客という立場のときでもお店で働く人の気持ちを考える人が増えてきているということだと思います。それは優しい人が増えたという話とはちょっと違います。てんてこ舞いで働く姿を見て、他人事とは思えないという気持ちに近いです。どの仕事でも労働環境は悪くなっているので、この60秒サービスに従業員としての自分の姿を見るような気持ちになってしまうのだと思います。
実際、わたしは、マクドナルドでちゃきちゃき働いている老齢のアルバイトさんを見て、「もし将来この仕事についたら、ここまでちゃんとできるだろうか……」と不安になってしまいます。


利潤の追求と同じくらい顧客満足を優先するがゆえに従業員に負荷をかける会社は少なくないのですが、いくらサービスを厚くしても、その結果として従業員がつらそうに見えてしまうのであれば、かえって顧客満足度が下がってしまう……という話でした。