こんにちは。だいぶ前の話で申し訳ありませんが、今なお新鮮な怒りを覚えているので、たまたまこの記事を見ちゃった人は、運が悪かったものとあきらめて、ご静聴願います。
ある春の日、電車の中で座って寝ていたのですが、ふと起きると、大学生の男女がわたしの斜め前で会話をしていました。男子学生はモッサリしており先輩風。女子学生は上京したばかりで近寄ると濃いめの産毛が生えてそうですが、これから垢抜けていい感じになりそうで、おいしいお店とかに連れて行ってあげたい感じだったのですが…そこで交わされていた会話が大問題だったのです。
男子学生「カナちゃんは…Sなの?」
女子学生「いや…そういうわけじゃないですが…」
男子学生「あー…じゃあMなのか!」
もともと気がロングなことでお馴染みのわたしですが、他人事ながら、これにはカチーンときました。よっぽど、立ち上がって「ちょっとそこのサエない毛玉ブルゾン君、今何て言ったの?」と問いつめてやろうかと思ったのですが、残念ながら、就寝中、副交感神経がわたしのペニスに「男である証拠を見せたまえ」というような意味の命令を出していたようでガチガチに勃起していたため、立ち上がることは困難で、今回は見逃してあげましたが、まったく許しがたい言動です。しかしこれは、毛玉ブルゾン君だけの問題ではありません。わたくしの脳内調査によると、日本人の4人に1人は「人を見るとすぐSかMに分けたがる」という結果が出ています。
念のためですが、この毛玉ブルゾン君の言葉のどこが問題なのかをミスターチルドレン風の箇条書きにしておきますのでご一読ください。
(1)世界に一つだけの花であるところの人間の性癖をわずか2パターンに分類しようという大ざっぱな感性にドロップキック
(2)人はみな倒錯した性癖を持ってしかるべきだという中学生的な先入観にドロップキック
(3)カジュアルにエッチな話をする口実として「SかMか」という話題を持ち出すその貧弱な発想力と臆病さにドロップキック
心情を吐露して幾分落ち着いてきましたが、この毛玉ブルゾン君を叩くだけだと感じが悪いので、SとMの白痴的二元論を乗り越えるため、アルファベット26個分の性癖を用意したので、もしあなたが「Sなの?Mなの?」という下品極まりない質問を受けた場合、もっとも近いアルファベットを吐き捨てるように発音してくだされば幸いです。
A.アリがソフトクリームに大量にたかっているところを見ることでしかオーガズムに達することができない、というおかしくも哀しい性癖です。
B.『坊ちゃん』が無鉄砲すぎて二階から落ちるところを読むことでしかオーガズムに達することができない、というおかしくも哀しい性癖です。
C.米米クラブで一番体重が重い人の着ていた鎧みたいなのを思い出すことでしかオーガズムに達することができない、というおかしくも哀しい性癖です。
D.ダルマの、まだ片目しか入っていないものを大量に買い集め、まとめて目を入れていくことでしかオーガズムに達することができない、というおかしくも哀しい性癖です。
E.えなりかずき君の頭皮の毛穴から複数の毛が出ているところを顕微鏡で観察することでしかオーガズムに達することができない、というおかしくも哀しい性癖です。
F.F16戦闘機に乗って、Gがかかりまくっている中で、カップ春雨を食べることでしかオーガズムに達することができない、というおかしくも哀しい性癖です。
G.頑丈な金庫が炎に包まれていても中のシュークリームが無事であるシーンを想像することでしかオーガズムに達することができない、というおかしくも哀しい性癖です。
H.半村良のペンネームの由来がイーデス・ハンソンから来ているという話を聞くことでしかオーガズムに達することができない、というおかしくも哀しい性癖です。
I.印旛沼の干拓が終わった瞬間、それを掘り返してまた沼に戻すところを想像することでしかオーガズムに達することができない、というおかしくも哀しい性癖です。
J.ジャパネットたかたの社長がキックボードに乗りながら家に帰っているところを想像することでしかオーガズムに達することができない、というおかしくも哀しい性癖です。
K.米米クラブを「ベイベイクラブ」と読んだ、流行に疎い優等生を想像することでしかオーガズムに達することができない、というおかしくも哀しい性癖です。
L.ランバダとマカレナをミックスした小粋でエッチな「ランレナ」というダンスを開発する過程をブログに綴ることでしかオーガズムに達することができない、というおかしくも哀しい性癖です。
M.マイク・タイソンがタイク・マイソンと改名し、初心に戻って練習を始める場面を想像することでしかオーガズムに達することができない、というおかしくも哀しい性癖です。
N.「ノンノ」に載っている服の写真を切り抜いて、自分の顔写真と重ねて似合うか確認することでしかオーガズムに達することができない、というおかしくも哀しい性癖です。
O.オムライスの皮の部分だけを食べ、何度も皮の部分のおかわりを要求することでしかオーガズムに達することができない、というおかしくも哀しい性癖です。
P.ポリンキーに霧吹きをかけているところを想像することでしかオーガズムに達することができない、というおかしくも哀しい性癖です。
Q.クエーカー教徒が実はオートミールはあんまり好きじゃないという話を聞くことでしかオーガズムに達することができない、というおかしくも哀しい性癖です。
R.乱暴者が成敗されて死ぬ間際に、実は悲しい生い立ちを背負っていたことを告白するシーンを見ることでしかオーガズムに達することができない、というおかしくも哀しい性癖です。
S.水分がほとんどない砂漠の中で、目の中に水分をためて生きているトカゲを見ることでしかオーガズムに達することができない、というおかしくも哀しい性癖です。
T.富岡製糸場で自分の愛犬が毎日16時間働いているところを想像することでしかオーガズムに達することができない、というおかしくも哀しい性癖です。
U.羽毛布団を破いて取り出した羽毛から羽根を作り、鳥人間コンテストに出場することでしかオーガズムに達することができない、というおかしくも哀しい性癖です。
V.ヴァイオリンと顎の間に挟む布に漆のエキスを十分に塗って、ヴァイオリニストの顔がみるみる赤いかぶれに染まっていくところを見ることでしかオーガズムに達することができない、というおかしくも哀しい性癖です。
W.ワンカップ大関の空きカップをペン立てに使っている理系男子を想像することでしかオーガズムに達することができない、というおかしくも哀しい性癖です。
X.X-girlを着ている女の子に「このデザイナーのキム・ゴードンの本職は…」と話すことでしかオーガズムに達することができない、というおかしくも哀しい性癖です。
Y.よもぎ餅に含まれているよもぎの破片をピンセットで集めて、よもぎの葉を再現することでしかオーガズムに達することができない、というおかしくも哀しい性癖です。
Z.「ざる蕎麦ともり蕎麦の違いは?」という雑学クイズを出そうとするも、「ざる蕎麦とざるうどんの違いは?」と言い間違えて台無しにしてしまうことでしかオーガズムに達することができない、というおかしくも哀しい性癖です。
以上、いまだにアルファベットの歌を歌わないとA〜Zまでを確認できないココロ社がお送りしました。シーユーネクストウィーク!バイバーイ!