ココロ社

主著は『モテる小説』『忍耐力養成ドリル』『マイナス思考法講座』です。連絡先はkokoroshaアットマークkitty.jp

野坂オートマタ美術館

要は機械仕掛けの人形で、日本で言ったら茶運び人形みたいなものだけど、動きの精巧さが尋常じゃない。たかだか数十秒の動きを繰り返し見せるためだけに、金と時間を惜しげもなく投入する。美しいとかどうとかいう問題を超えて、ただ単に気違いじみている。マスターピースとされる「魅惑の蛇使い」は、どこかに貸し出しているらしく、映像でしか見られなかったけどすごかった。蛇の部分が動くのはもちろん、目も動くし、呼吸しているように胸板が動いている。「どうやってこんな動きを?」と思ったのだけれど、実際に動かせるコーナーがあって、構造を見てみると、様々な歯車が平行して並べてあり、その歯に応じてそれぞれのパーツが動く、つまり、オルゴールの音が鳴る部分がスプリングや何やらの動力に関係するものになっている感じ。

貴重な昔のオートマタの実演タイムもあって(客がぼく一人しかいなくてマンツーマン…)いろいろ驚いた。「たかが人形にそこまでするか…」と思った。
あと、人形たちのモチーフがピエロか黒人が中心、他には日本人やインド人もあった。この手の人形は金持ちが買い上げるものだったから、何度も同じ動きを命令通り繰り返すにふさわしいモチーフは、自分たちに近い人種では決してないんだろうな…