ココロ社

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「海の京都」宮津の化粧地蔵にカルチャーショックを受けた

たとえば東京都民が本州を離れて沖縄の離島を旅すれば、建築がまったく本州のそれと異なり、同じ日本語圏なのに本州の文化とはぜんぜん違う異国に来たときのような感動を覚えるはずだが、本州を旅するときはどうだろう。沖縄でのような異文化との出会いは想定しないはずだ。細部は異なれど、東京と同じ文化圏だと思って行動しているはずだけれど、先日、京都北部の宮津で異文化に接して感動したので記念に書いておきたい。

 

参考情報として、わたしがふだん散歩で眺めている多摩市の貝取神社のお地蔵さん。

多摩ニュータウン開発のときに近辺の神社から合祀されたらしいのだが、お地蔵さんもそうなのかは知らない。近くに17世紀のお地蔵さんがあって、それは鎌倉街道沿いにあったものを動かしたらしく、もしかしたら彼らの出自もそうなのかもしれない。

マスクにも年季が感じられるようになったが、疫病が終息したら外したりするのだろうか。それとも意図的に外すことはなく、千切れたり飛ばされたりしたものからマスクなしになるのだろうか……。

 

雨よけのあるものもございます。

 


真ん中の赤いところがよくわからないと思うので寄ってみます。

つまり、頭の先しかないお地蔵さんに帽子を編んだ優しい人が近所にいるということ……多摩ニュータウン最高!

 

 

最高だったので話がそれてしまった。

京都から西舞鶴(ここの話も後日書きます)を経由して宮津に行ったのだが、道傍の祠に目を遣ると、中がなんだかカラフルである。

「ええい、ガンダムを映せ!」と思いながら(注:つまんないと思ったかもしれないですが、この台詞が大好きなので我慢してください)近づいてみると……

 

お地蔵さんに彩色している様子だがよく見えない。

そして、背後に字が書いてあり、昔からあるお地蔵さんの上に彩色しているようだ。

 

これも、「ええい、ガンダムを映せ!」案件であるが、彩色がよりガンダム寄りであり、ガンダムを見せてあげようという配慮が感じられなくもない。

 

 

最初に見かけたときは、地方でときどき見かけるインディーズのお寺で、敷地内にあったお地蔵さんを超解釈で塗ったりしたのかしらと思って写した。スペインのキリストの絵みたいな感じでエキサイティングだと感激したのだが、さらに町を歩いていると……。

ぜんぶ塗ってあるじゃん!(大阪出身だけれど、こういうときは「じゃん」を使いたくなる)

 

鈍感なわたしも、さすがにこれはこの地方特有の文化なのかもしれないと気づいて、「宮津 地蔵 色付け」で検索したらすぐ出てきた。「化粧地蔵」といって、どれもピカピカなのは、毎年地蔵盆のころに、地域のお子様たちがお色直しをしているからだった。なんて楽しい行事なのでしょう。

 

これはビルができる前からあってビルを建てるときに配慮した風で感動的。

 

これだけ多く卍があったら1つくらいは誰かが間違えて外国人がびっくりする感じの記号になりそうなものだが、描く前に「卍を描くときは全集中の呼吸やで!」などと教えこんだのかもしれない。

 

そして、自由に塗っていいはずなのに、顔は白が多くて、バイアスがかかっている。これもあと50年くらいしたら茶色が増えてきたりするのかしら……。

 

こちらは色遣いにおいて最も独創性があったのだが、首から下について、やはりガンダムを映せと思ってしまった。

 


事前に把握できていればたくさん見ることができたはずだけど、「宮津 名所」でこの愉快なお地蔵さんが出てくるはずもなく……ただ、異文化との出会いが突然だったおかげでいっそう感動したので、よい体験ができたと思う。これからも旅行中はキョロキョロしながら歩いていこうと思ったのだった。

 

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