ココロ社

主著は『モテる小説』『忍耐力養成ドリル』『マイナス思考法講座』です。連絡先はkokoroshaアットマークkitty.jp

札幌&新千歳空港近辺で生成されがちな空き時間の楽しい過ごし方

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日本の航空便の利用者数は、羽田~札幌の航路が常にトップである。夏などは、軽井沢などの避暑地が、気候の変化によってすでに避暑の機能を持たなくなったいま、避暑地として北海道が選ばれることが多くなってきているという理由もあるのかもしれない。ただ、道内の観光地が互いに離れていて、いくつもの観光地を網羅することが難しく、旅行の最終日は、帰途で通過する札幌や新千歳空港で微妙な待ち時間が発生しがちなことはご存知のとおりである。
 
さらに悩ましいのは、札幌に出張した場合。札幌は日本有数の都市であり、サラリーマンは、東京や福岡と同じような頻度で札幌出張が発生する。週末や週明けに札幌出張が絡んだときには旅行がオギャーと誕生してしまったりもするのだが、問題なのは、火曜日や木曜日などに「14時から札幌で会議」や「午前中で任務完了」となった場合。中途半端な自由時間では、函館や小樽、登別などに行くわけにもいかない。
 
北海道という、名所や名物満載の広大な土地にいながら、時間を持て余しているという状態に人はストレスを感じ、ススキノのジンギスカンの店などでお茶を濁してしまう生き物である。当然ながら下調べが不十分で、東京よりおいしくないジンギスカンと向き合う羽目になってしまう……どちらかというと、わたしがそうだっただけかもしれない。
 
長い間日本人を悩ませてきた札幌近辺での空き時間だが、空き時間に楽しめる新千歳空港~札幌近辺のスポットを3つ発見したので、次の北海道旅行あるいは札幌出張に備えて銘記しておいていただけると、わたしもやりがいをもってブログを続けることができる。
 
 
(1)千歳にある、淡水魚だけの水族館
新千歳空港~札幌の間の南千歳駅は、本州から来た者は必ずといっていいほど通るが、時間がある場合は途中下車することを推奨する。駅から15分程度歩いたところに「サケのふるさと 千歳水族館」という水族館がある。
何も北海道で水族館に行かんでも……と思うかもしれないが、わたしは2時間程度の空き時間が発生したらダッシュでこの水族館に行っている。

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この水族館の面白さは、淡水魚だけの水族館であること。
 
とくにサケ関係は手厚く、成長の途中の様子も展示している。

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これはシロザケの若いの。サケといえば、大人になって川を激しく遡上しボロボロになって震えながら精の子を撒き散らしているイメージしかないのだが、こんなに可愛い時期があったとは……。そこは人間と同じである。
 

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ふつうの水族館のサメ的なポジションはチョウザメが占めているので、チョウザメを見たら、人を襲うことはないと知っていても、「怖いねぇ……」と言わなければならない。
 
幻の魚として知られるイトウも泳いでいたが、奥の方や上の方にいて、こちらに来てくれなかった。

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なお、世代的には、学校で釣り好きが「イトウという幻の魚が……」という話をしていたので、希少であるというイメージを持っており、なぜイトウ先生を別の水槽で紹介しないのかと思ったりもするのだが、最近は養殖されたりしているらしいので、その幻である度合いは、幻の手羽先よりもやや幻という程度なのかもしれない。

 

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深海魚などの異常な状況下に生きる魚類を除くと、魚類で一番気持ち悪いのはゴールデンスポッティッドナイフではないかと思っている。頭の形状だけでじゅうぶんショッキングだけど、トドメと言わんばかりに側面に斑点がついていて、許してくださいという気持ちになる。
 

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そして淡水エイもおります。ポルカドットスティングレイ。
かわいいなぁ~淡水へようこそと思うけれど、ブツブツしたのが苦手な人はこういうのも結構ギリギリなのかもしれない。
 
淡水魚だけでちびっこが号泣したりすることのないよう、おさわりコーナーもある。
f:id:kokorosha:20180812195159j:plainただし、スタイリッシュな水槽なのでおさわりが憚られる。
 
もちろんピラニアもご用意しております。

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顔がカミカミすることに特化されすぎると、口先がとがるのではなく、受け口になって政治家のような風貌になっているところが興味深い。
 
そして、この水族館の群をぬいてすばらしいところは、千歳川と合体して、千歳川の中が見えるようになっていること。

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グラスボートのように主体的に動き回る感じではなく、ただ自然の一部がそこにあるといった趣きで、わたしはこの水族館の大半の時間をここで過ごしている。
 
窓になっている部分は流れが緩やかになるようで、わりと積極的に魚がやってくる。これはウグイかな?

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千歳川沿いにある施設なので、もちろん外から千歳川を見ることもできる。

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以前は、ここに、インディアン水車という、自動サケ捕獲装置があってときめいたのだけれど、今は撤去されていて、水族館の前に置いてあるのみである。アメリカ原住民との関係は不明。
 

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再稼働することを願いつつ、捕獲装置が現役だったころの写真を載せておこう。

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ウミネコが装置の意味を理解してそこにいるのか、単に赤い棒の上に立ちたかったのかは謎である。

 
(2)空港からバスで15分のサンクチュアリ、ウトナイ湖
さらに時間がある人は、バスの時刻表を確認しつつ、ウトナイ湖に行くことをおすすめする。空港からあっという間に着くのに、北海道にきたことをしみじみ感じることができる。「ネイチャーセンター入口」で降りると、徐々に湖畔に向かって気持ちを高めていけるのでおすすめ。
 
コンテナが野ざらしになっている風景を見ただけで「北海道最高やな~」と思ってしまう。

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近くには最高に楽しそうな研究所もある。
(数年前に行ったときは開いていたが、先日行ったときには閉まっており、詳細は不明)

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なお、ラムサール条約批准のリアル湿地帯なので、もし出張だったとしても、防水の靴を履いてくることが望ましい。

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ここは日本初のバード・サンクチュアリなのだけれども、季節によっては鳥と出会うのに運と努力が必要になる。

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とはいえ、なんとなく歩くだけでも北海道の湿原やね~という気持ちになれるので動体視力に自信がなくても楽しめる。

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緑がいっぱいで、通路も緑に染まって見える。
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そういう撮り方をしたからそうなんだろうと言われたら何も言えないが……。
 
ここでは鳥が主役でありますがゆえ、鳥を観察したいと思った者は、いくつかある小屋にこっそり隠れて観察せねばならない。

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最近、山岳ベース事件の映画を見たから、林の奥に小屋を発見したとき緊張してしまった。
 

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こちらはさきほどの山岳ベースとは違うベースなのだが、どこも自分で窓を開け、満足したら閉めて帰るシステム。
 

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次回撮るときは、どのタイミングで長い首を収納するのかに気をつけて撮りたい。

 
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なお、雲台なども装備されているので、手の震えが心配なお年頃の方におかれましても、三脚をご用意いただくには及びません。
 
 
湖と小屋だけでなく、野生鳥獣保護センターがある。

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巨大な双眼鏡があり、出張のついでなんだからズームレンズなんて持っているわけないじゃんとおっしゃる方もバードウォッチが満喫できる。

 

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出張のついでなのにズームレンズを持ってきてしまったわたしのような準備よしの人も、さらなる高倍率のズームレンズがほしくなってしまうのであった。

 

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白鳥の重さを体験したのだが、ずいぶんと重くて、暴れられたらすぐ逃げられるだろうと思ったのだが、もしかしていま白鳥を誘拐する想定で考えていたのか……と自分に驚いた。立派な犯罪者予備軍である。
 
二次元に限りなく近づいた剥製なども用意しておりますので、すみずみまでご覧くださいませ。

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湖畔はとても静かで、ああ、北海道に来たという実感でいっぱいになる。
 
なお、仕事の前にこのような風景を目にしてしまったら、「売上目標未達くらいどうでもいいやん……」みたいな気持ちになってしまうので注意が必要。よく考えたら動物たちの多くは売上目標未達の日がザラであり、それゆえ死亡率が人間よりはるかに高く、大自然にインスパイアされた結果としてもたらされるのは「死」なのである。
 
空港から近いだけあって、低空で飛行機が通り、自然とのギャップに驚いてしまう。

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ここが渡り鳥の休息地であることを考えると、わりと鳥もたくましいのね……と安心する。
 
なお、近くには道の駅があり、お食事も可能。

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「海鮮パークかにの寿司」でカニ玉丼を頼んでみた。

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道の駅のイートインスペースで外を眺めながらいただく。
 
観光地なのに盛大に盛っていて、やはり北海道は懐が深い……と、北海道全体への愛情が高まるのであった。
 
 
時間があるなら、湖畔から室蘭本線の沼ノ端駅まで歩くと楽しい。

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とくにサンクチュアリでもなんでもない川べりを歩いていると、黄ばんだ白鳥がたくましく暮らしているところを見かけた。

鴨なども目立たないだけで実は汚いのだろうけど、白鳥が汚いとエッ……と思ってしまう。これもまた差別である。また足のお行儀が悪すぎる。
 
ウトナイ湖には二度ほど行ったが、バスや電車の本数が限られているので、綿密な計画が必要であることを念のため記しておく。
 
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沼ノ端駅は人が少ないけれど、本州の人の少ない駅とは植生が違うので興味深く、ついつい駅前広場でも長居してしまう。
 
 
(3)苫小牧の製紙工場も熱い
北海道は、自然が大嫌いなサラリーマンにも優しい。なぜなら苫小牧に製紙工場があるから。
新千歳空港から、札幌に遠ざかる方向に電車でおよそ30分で苫小牧に着く。1時間もいれば満足できるので、3時間程度空きができたら検討していただきたい。
 
苫小牧は、空港から登別や洞爺方面の電車に乗ると巨大な煙突が見えてきて、ちょっと途中下車したいかも……でもこのあと行く温泉やら何やらのことを考えると、煙突を見るために途中下車するのはどうなのという気持ちになり、結局車窓から眺めるだけになってしまいがちなのだが、まさに札幌出張などの際に落穂拾い的に歩いてみたいところである。
 

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ルートは簡単。駅から降りて煙突に向かって歩くだけ。お好みのルートでアプローチしてほしい。
 
駅から少し歩くとこのようにフォトジェニックな3人組が現れる。

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いまはちょうど補修中で、美しくなっているところのようで、写真のように老朽化しているところが見たいと思っている方は物足りないと思うかもしれない。

間近で見ると水蒸気がすばらしい迫力である。出張だというのに望遠レンズをカバンに忍ばせてしまった方におかれましては、ここが使いどころなので、最大のズームでご撮影のほどお願いいたします。

 

 地上に近いところにある太いパイプたちも見逃せない。

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まるで生き物。
なお、ここでいう「生き物」とは、『デューン 砂の惑星』に出てくるサンドウォームの意味である。
この中を木と水が混じった甘酒みたいな感じのものが流れているのだろうか。それともまた違うものが流れているのだろうか。
 
もっと製紙工場らしいところを撮りたいなーと思っていたら、小川と思っていたところからどんどん材木が送られてきて、意外に原始的な輸送方法で地味な感動が体を駆け抜ける。

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たとえばこれが豚肉工場で、豚がブーブー言いながら通路を歩かされていたら、自責の念etc.に苛まれそうだが、川を材木が流れている分には、へぇ~すごいねぇ~で済むのでよかったと思う。
 
駅に戻ると見慣れない銅像があった。
アイスホッケーの聖地ならではである。

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見るに値する工場群は全国のあちこちにあるが、駅から徒歩で満喫できるという点において、苫小牧はおすすめである。
 
 
広大な北の台地、新千歳空港~札幌のまわりだけでも、これだけ楽しいところがある。
札幌近辺で「空き時間が発生したなぁ」と思ったら、繁華街で時間を潰すのではなく、積極的に動き回ってみることを強くおすすめする。