ココロ社

主著は『モテる小説』『忍耐力養成ドリル』『マイナス思考法講座』です。連絡先はkokoroshaアットマークkitty.jp

「女って○○だよね」…属性叩きに気をつけて!

最近、「KY」という言葉が普通に使われるようになっているので、新コーナーを作ってみました。
KYというと、まれに、「異質な人間をKYという言葉で排除…軍靴の足音が聞こえる!」的なことをおっしゃる方もいますが、そうでしょうか。そもそも、靴の製造技術は進歩しているため、最近の軍靴は、そんなに騒々しい足音はしません。うるさい軍靴だったらすぐ見つかって殺されちゃうじゃないですか…軍靴の足音が聞こえないのが現代の恐ろしいところです!

「空気」で済ませてしまっては解決にならない

冗談はともかくとして、さらに冗談を続けますが、二言目には「KY」という言葉が吐かれる状況を苦々しく思っている方も多いかと思います。しかし、これはこれで、優しい言葉かもしれません。なぜなら、具体的に「キミは場の雰囲気に合った話題選びのスキルがとても低いね」と言われるより、「KYだねー」の方が、言われた方も楽だからです。「空気」が何を指しているのか不明瞭なので、単なる言いがかりであるという可能性を残し、自分が悪くないという可能性が残ります。もし、ズバリ、「キミって、場の雰囲気に合った話題選びのスキルが低いねぇー」と言われたら、背中を丸めて小さな声で「ミィ…」って鳴くしかないですよ…。
言う方も、悪者になりたくないから、とりあえず「KY」と言っておくことにする、ということで、言う側と言われる側の双方に暗黙の協定があるように思えるのですが、ひとつ問題点があって、それは、「KY」という言葉だと、具体的ではないので、言われた方は改善できないまま、永遠に「KY」と言われ続けることです。



ということで、過去の失敗経験を生かしつつ、「この言葉を使うときは注意すべき」と思うKY語を定期的に扱っていきますので、お手すきの方は読んで参考にしていただければと思います。
「空気を読む」というのは関係性の問題なので、キーワードで切っていくというのは難しいのですが、関係性の話を出してしまうと、結局、「空気を読むためには空気を読みましょう」という、堂々巡りに結論になる危険性があります。巷にあふれる空気の読み方の本はそれに近いものがけっこうあります。
なので、そこらへんとの差別化の意味も踏まえて、なるべく、機械的に対処できるマニュアルにしようと思います。(参考になるかどうかわからないですが、わたしの場合は、脳内にNGワード集みたいなのを持つようにしていて、言いたいことの中にNGワードがないかどうか確認してから言うようにしています。)



―ということで、導入はこれくらいにして、今回の「女って○○だよね」に入ります。

「女って○○だよね」に代表される、属性叩きの問題点

それなりに人間関係が得意な人でも、ついやってしまいがちなのが属性叩きです。特にポピュラーなのが性別でカテゴライズしてあれこれ言うパターン。「女って〜」で始まり、だいたい感情的で論理的思考力がない、的な意味のことを書いて、今まで積み上げてきた信頼関係が無惨にも壊れてしまうことが多いようです。まあいいニュアンスで言ったつもりの表現で、「女性特有の感性で、男性社会の論理をひらりとかわす」的なサムシングもありますが、あまり前者と変わっていませんね…。
言わずもがなですが、なぜこれが問題かというと、その属性を持つ全員を一言で切り捨てているからです。
たとえば、「ブロガーって〜」「オタクって〜」「大阪人って〜」「文系って〜」で始まる文を見つけた場合、〜の内容の如何を問わず、反発を覚えてしまうと思いますが、それとまったく同じです。「○○ってダメだよね〜」と言うときは、「○○」に当たる人すべてを敵に回すことになります。ネットのない時代は、会話は対面が基本だったので、いらんことを言う可能性はなかったのですが、ネットの場合、読者のプロフィールを限定的にしか知ることができないので、特に見えにくい属性だと、ネットでの知人を叩いてしまう危険性が高いのです。ネットの友達が急に冷たくなったら…まずはこれを疑った方がいいかもしれません。





日常的に見られるシーンですね。
自分の周囲にいる人の属性をすべて記憶しておくのが面倒だというのであれば、属性を叩くのはオススメできません。この場合で言うと、具体的に問題のある高学歴の女性がいるのであれば、具体的に名前を挙げた方が問題がブレなくていいです。もし、名前を出す勇気がないのであれば、その言葉は胸にしまっておくのが身の安全のためです。

リスクを負いながら論旨を読みづらくするなんて損です!

さらに、「女って○○だよね」を例として、嫌われる以外にどういったデメリットが発生するのかシミュレーションしてみましょう。



これもまた、よく言われる言葉ですが、最後の「女ってややこしいよねー」は、内容の良し悪し以前に、エネルギーの無駄遣いにすぎません。個人であるAさんと接する際の不快感について語るにとどまらず、その不快さが女の人全体の特徴であるかのように言ってしまっていますが、本当にこれを付け加える意味があるのでしょうか。
個人の問題行動について何か言いたい場合は、その人の持っている属性について触れる必要はありません。その属性そのものが問題の本質にあるというのであれば話は別ですが、その場合でも、その属性について丁寧な論証をしないと絶対に炎上しますし、論証ができないのであれば、単に偏見を持っているにすぎないでしょう。


この場合で言うと、属性の話を経由しているだけ、無駄の多い思考だと言うほかありません。女のややこしさについて言いたいのならともかくとして、Aさんの何が問題点なのかわかりにくくなるし、「実は批判したいのはAさんではなく、女性全体なのかな?」などと勘ぐられる、あるいは、その読み通りで、本心がバレバレになってしまうので、あまりオススメできません。
また、「〜って」という語法を使っていなくても、趣旨と関係ないところで、国籍や出身、性別について執拗に言及しながらネガティブな話をするのも「〜って」と同じ効果があるので注意が必要です。

批判したいときは、属性ではなく、個人や、行動そのものに焦点を合わせることが重要

ということで、わたしの場合、何か批判をしたくなったときは、個人に対して、特に言動に対して行い、批判したくない人を批判しないように気をつけています。
「正面からケンカを売る勇気がなくて、その人の属性を遠回しに叩くという戦法を取ったが、敵が無限に増えて…しかも大好きだった人も敵になっちゃった…これなら正面からケンカを売ってた方がまだマシだった…」というケースをたまに見かけますが、見るたびに他山の石としています。
批判対象を個人に絞れば、対象者以外の人に嫌われる可能性が減るだけでなく、発言内容に無駄がなくなり、論旨がはっきりするというオマケもついてきます。

そこで自分がどうしても属性叩きをしたくなっていたとするなら、過去に経験したトラウマなどが引き金になっていて、「坊主憎けりゃ〜」的な状態になっている場合も考えられるので、自分の持っている偏見について見つめ直せば、いろいろスッキリするのではないかと思います。

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