ココロ社

主著は『モテる小説』『忍耐力養成ドリル』『マイナス思考法講座』です。連絡先はkokoroshaアットマークkitty.jp

大船観音の横に高層マンションを建てることが「景観の破壊」だという意見について

江ノ島に行ったりするときにいつも素通りしつつも気になっていた大船観音。なんか最近、観音の前に高層マンションの建設計画があり、反対運動が起こっているという話を聞きつけ、どうにも気になってしょうがないので行ってきました。
巨大仏って、たとえば牛久の大仏にしろ、会津の観音にしろ、崇拝や畏敬の対象というよりも、キワモノ的な扱いが多い気がします。なぜそういう扱いを受けるかというと、奈良の大仏のような、国家が傾くくらいの費用を費やし、当時の最新の技術を駆使して作ったものを、たかだか数億円で、場合によってはワンマン社長の妄想レベルのコンセプトで、大きさにおいて超えようとしてしまうところや、造形そのものがあまり精巧でないところが原因だと思います。
マンションの建設反対運動について「たしかに、むやみにマンションを建設して景観を損ねるのはいかがなものかと思うけど、そもそも大船観音自体が景観を損ねてると思う人もいるんじゃないか?」と思いました。電車の中から見る大船観音はすごい違和感でぬっと現れるのですが、実際、近くで見ると印象が変わるかも…と思って下車しました。

▲こんな感じで小山の上に観音の大きな頭が見えます。

▲拝観料は300円。牛久の大仏ほどの大きさはないですが、質感が独特。モコモコしています。あと、上半身だけというのが不思議感を高めています。

▲中にも入れるのですが、いかんせん上半身だけなので、階段を登って外を見たりというアトラクションもありません。中に小さな観音が置いてあります。マトリョーシカ的。

▲これがマンションの建設現場です。近くに廃屋と化したマンションがたくさんあったのですが、そこに建てずに、あえて山を切って建てる意味があるんだろうか?とは思いました。しかし、この観音のそばに建てることを「景観を損ねる」と表現する感覚はぼくにとっては不思議でした。地元の人にしかわからない切実さみたいなものもあるんだと思いますが、この巨大仏は、一般的な「景観」という言葉とはかけ離れているように見えました。伝統というのは、わりとアッサリと作られてしまうものなんだと思いました。靖国神社もそうですが。