群像５月号『新人１５人短編競作』

「本屋に行っても面白い小説に出会えない」とよく嘆くのですが、食わず嫌いかもなぁという気もしたので、せっかく買ったことだし、最近の雰囲気を知っておくのもいいかも！というポジティブな気分で読んでみました。
１５編中、病気の話が３編。ウンコをガマンする話が３編。申し合わせているのでなければ、２００６年はそういう傾向だということになるんでしょうか。星新一を長くして今日的な小道具を織りまぜたという印象です。不思議な設定なのですが、話者や読者の立ち位置は世間一般の枠から一歩もはみ出ておらず、安心して読むことができます。ぼくは不安になるのが小説だと思っているので、ちょっと合わないかもと思いました。
読んでいて、あまり２００６年的だとは思わなかったのですが、おそらくぼくの考えている２００６年像は一般的なものではないと思うので、本当は参考にした方がいいんだと思います。しかし、自分が書いているものとの隔たりが大きすぎて、道のりの遠さを感じるばかりでした。たしかにこの１５編の中に自分のが混じってたら、浮いてしまうと思います。