ココロ社

主著は『モテる小説』『忍耐力養成ドリル』『マイナス思考法講座』です。連絡先はkokoroshaアットマークkitty.jp

アラン・ロブ=グリエの新作( ゜∀゜ )キタ━━━

気づくのが遅杉...
『反復』っていうタイトルを聞いて、「これって再版か何かだっけ?」と、ビュトールの『段階』と間違える始末。『反復』は、元は2001年で、訳がついて先月出たようだ。
「ヌーボーロマンの旗手、20年ぶりの新作」で、帯を見たら、「第二次世界大戦の混乱したベルリンへの特殊工作員の潜入あり、謎の殺人事件あり、扇情的なうら若い少女売春あり...」なんかピンチョンみたいだし...ちょっとあざとい気もするが面白そう、と思ってさっそく読み始めているが、冒頭からドッペルゲンガーとのやりとり( ゜∀゜ )キタ━━━「語る私」と「語られる私」がなんかやらかすのだろうかとか何とか思いつつ、ドキドキ...推理小説の体裁を取っているらしいんだけど、どう考えても結末は宙吊りの悪寒...いや、ぜんぜん悪寒じゃなくて宙吊りじゃないと困るのだが。

ロブ=グリエは『嫉妬』を読んで、変態そのものの幾何学的描写がやばすぎてよくわからないし、同じシーンを角度を3度ばかりしか変えないで繰り返し描くし、簡単に言うと「浮気された夫の視線あり、浮気された夫の視線あり、浮気された夫の視線あり...」でしんどかったのだけれど、今回は楽しめそうな気がする。

以下、id:churosさんのところから持ってきた冒頭部分。

というわけで、ここで私はまた反復し、要約する。アイゼナッハから廃墟だらけのチューリンゲンやザクセンを経てベルリンへと向かう果てしなくながい列車旅行の最中に、私はずいぶん久しぶりに、話を簡単にするために私の分身、あるいはそっくりさん、あるいはさらにもっと演劇的でない言い方で《旅人》と呼ぶ男を見かけた。

 列車は心もとない断続的なテンポで進み、あちこちと頻繁に、時には何もない田園のど真ん中で停車したが、もちろんそれはまだ部分的に使用不可能だったり修復を急ぎすぎたりした線路のせいであったが、ソ連軍政部が行う不可解で反復的な検察のせいでもあった。