ココロ社

主著は『モテる小説』『忍耐力養成ドリル』『マイナス思考法講座』です。連絡先はkokoroshaアットマークkitty.jp

kokorosha2005-02-16

3連休、カレンダー通り休めたので奈良へ行ってきました。今回は都市部ではなく、交通の便があまりよくないところ限定で、結果として密教の旅みたいになった。

1日目から順に書きます。

6時半東京発の新幹線に乗って、奈良駅に着いたのが9時40分。いつものように近鉄のレンタサイクルに直行。レンタサイクルのオッサンが、いつにない笑顔で迎えてくれました。さてはオッサン、昨日嫁はんと久々にベッドという名のリングで…(以下略)

ということで、自転車を出してくれ、オッサンがいつものように地図を見せながら「今いるのがここやね」と説明。で、「どこ行く予定でっか?」と聞いてきたので、「浄瑠璃寺とか」って答えたら、たちまちオッサンの血相がピンクから紫に変わりました。

浄瑠璃寺浄瑠璃寺!あそこはダメです。行ってはいけません。あそこは道が曲がりくねってて、行くと必ず事故を起こして帰ってきますから。もう必ず事故を起こしますねん。」で、浄瑠璃寺の所に青鉛筆で×をつけ、「だいたい、ここらへんですわ。自転車で行ったらええのは。」と言って、興福寺とかに○をつけました。っていうか興福寺なんて歩いたらええやん…とりあえず証拠写真の地図の部分、アップしておりますので、うっすらと×がつけられているところ、ご確認のほどよろしくお願いいたします。
ドラクエとかで「あの洞窟に行って帰ってきたものはいない」みたいな表現が出てきますが、あれに似てる状況だなと思った。そこで「あー危険だからやめよう、ドラクエここまでか。残念」と思って電源を落とす香具師はいない。「あー残念だなぁ。新薬師寺とかに行こうかなー」と小声でカモフラージュしつつ、自転車をこぎ出しました。

円成寺


早速、柳生方面へ向かいます(地図参照)が、なかなか着かない。道に迷うし。あと、ずっと上り坂なので、こいでいたのは最初の10分くらい。あとはずーっと歩いて押してただけ。しかも雪が降ってきたし。だんだん「バスにした方がよかったのでは…?」という気がしてきたのですが、「いやいや、途中の道でいろいろ面白いものに不意に出会えるのがいいのだ」と自分に言い聞かせました。

で、2時間近く自転車を押す中で出会った面白風景はこれだけ。吉岡の強引なやり方を、青首大根が糾弾しているこの風景のみ。
まあ、そんなこんなで円成寺に到着。春や夏だときれいなはずだが今は草木も枯れ果てて荒涼とした庭を横目に入っていきます。門の前の寺の案内板にふと目をやると「重要文化財」「国宝」がずらり。ここが東京なら、1つ1つに畳半分くらいのものものしい解説パネルが設けられているはず。で、1つ1つにまんじゅうやせんべいなど、名物のお菓子が発明されているはず。さすが奈良。重文・国宝の無造作な扱いに萌え〜

ここの見どころは、まず、本堂の柱絵である「聖衆来迎図」。本尊(阿弥陀如来像)の厨子の前に4本柱があり、ここに描かれている極彩色の絵なんですが、薄暗い本堂の中で非常に幻想的に輝いております。本堂の端っこには、十一面観音が置いてあったりするけど、暗すぎて見えない。三面くらいしかなくてもたぶん気づきません。他には南無仏太子立像とかがあって、文化財としては評価は高くないのですが、聖徳太子ってことで大事にされてるっぽかった。「また聖徳太子か」とボソボソ言いながら見ました(他に「また行基か」というバージョンも口癖としてある。)で、目当ては、ヤング運慶(20代)の作った大日如来坐像。2億円かけて再建した多宝塔の中に安置してあり、ガラス越しに見えるようになっている。ガラス越しだと写りこみが激しいので、こんな配慮が…↓これで国宝を見るのが奈良のやり方なのでしょうか。

とりあえず苦労が報われた気がしました。次は奈良駅まで半分くらいの所まで戻って、そこから加茂の方へ登っていきます。

岩船寺

  

ここはなぜか三重塔に挟まっている天邪鬼が売りになっているようで、ステキなストラップが売ってます。可愛い。当然買いました。室町時代の十二神将がSDガンダムみたいで萎えます。こんなんだったらもう作らない方がいいんじゃないか?この手の十二神将は受け入れがたいです。まあいいや。

ここの不動明王が、重文なんですが、度を超してスリムでというか貧相で、絶対御利益がない感じですごく気に入りました。ライブで足をくじいた忌野清志郎みたいです。ベスト不動明王に認定します。四天王とかは彩色がまだ残ってて、普通にいい感じでした。

浄瑠璃寺

ということで、笑う膝を抱えつつ、本日のメイン、浄瑠璃寺に到着。
とにかく九体仏が圧巻。彫刻としていいとかは思わないけど、狭い九体阿弥陀堂に、ずらりと阿弥陀如来が並ぶ。ざっくり言うと三十三間堂の密度を高くして観光客の数を9割引にした感じ。

九体分に、それぞれ対応する襖があって、建物自体が、入って拝む形ではなく、巨大な厨子になっていて、本来は外から拝むらしい。御朱印にも「九体仏」と書いてくれる。
あと、吉祥天が、中途半端にご開帳されたりされてなかったりするけど、行ったらされてなくて、ポスターを買いました。ぼくは男なので、吉祥天とか弁財天とかがわりと好きです。

元興寺

地図には「帰りは下り坂で楽々」とか書いてあったのですが、本当にその通りで、あっという間に奈良駅に到着。30分ほど余ったので、まだ行ってなかった元興寺に行ってみました。元興寺は飛鳥寺の平城京バージョンとして、近辺では東大寺に次ぐ大きな寺だったのですが、今や見る影はまったくなし。奈良町の中にあるので、ついでに寄る感じかなぁ…飛鳥寺が好きな人はとりあえず見ておくかという感じ…とか言いながら、変なものを買ってしまった。持って帰るのに苦労した。

本日のステキリンク
http://www.eonet.ne.jp/~kotonara/
行く前に見るべきだったかも。明朝体がストイックでいい。

天王寺

奈良に行くときは天王寺に泊まることが多い。今回は、近所に住むid:chisamと初めて食事したのだけれど、サイトからうかがい知れる以上に優柔不断でビックリした。飲み物を注文する段になって、メニューを見てずーっと考え込んでいる。そこまでは、まあよくある話。で、おもむろにページをめくって、飲み物以外のメニューを見始めたので驚いた。そこは飲み物を決めた人しか見ちゃいけません!と思ったが、口に出すのもアレなので黙っていた。重症の「優先順位つけられない病」だと思ったので、以後はぼくの食べたいものを続々注文。id:chisamは、事前に胃がもたれるとか何とか言っていたのに完全に意向を無視した形となった。話は普通に面白かった。あ、けなしてばっかりで、ぜんぜんほめてない…や、とっても楽しかったですよ。一心寺の骨仏の話とか(後日詳細を書きます)。