ココロ社

主著は『モテる小説』『忍耐力養成ドリル』『マイナス思考法講座』です。連絡先はkokoroshaアットマークkitty.jp

姫路の博覧会跡の展望レストランは、宇宙的なデザインが可愛らしいだけでなく、回転もしてくれる

ぶらり姫路まで行ってきた。
姫路駅~手柄山中央公園については別途記事にするとして、今回は、姫路駅からちょっと歩いた博覧会跡―博覧会は50年ほど昔になるので「跡」という認識ももはやないと思うけれど―にある展望レストランの素晴らしさについてお話ししたいと思う。

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この展望レストラン「手柄ポート」は、50年前に博覧会の姫路館として建設され、終了後は展望レストランとして姫路の街を見守っている。
見守られていると思っている人はあまりいないかもしれないけれど、見守るというのはそういうことなのかもしれない。

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一度見たら忘れない、この宇宙的なデザインは、ロサンゼルス国際空港のレストランにそっくり、というか、そっくりを超えた意図が感じられ、かつてこの国もまたコピー天国であったことを思い起こさせてくれる。ただしロスアンゼルスと違ってこのレストランは回転するので、単なるコピーに終わらず創意工夫を凝らしているという点で戦後日本の発展と衰退を象徴している。


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ビームのような柱は完全に飾りの機能しか果たしていない。
もし姫路に宇宙人が来て、この不合理な放物線は何のためだと説明を求められたら、「あなたたちへの憧れの気持ちを表してみました!」と笑顔で言おうと思うが、それが最後の笑顔になるに違いない。
ひとりでも満員になったかのようなギリギリなエレベーターに乗って4階へ。


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約14分で360度回転すると書いてあったがどうにもキリがよろしくない。
50年前は15分で360度だったのだが、人類が多すぎるしその人類のお人柄が揃いも揃って難ありだから地球が小さくなってしまい、14分336度で一周になってしまったのかもしれない。もちろん地球が米粒のように小さくなっても360度は360度だし、人類のお人柄と地球の体積に相関関係がなかったとしても人には優しくしなければならない点について、就学中の方およびあたかも就学中であるかのような学習到達度である方に念を押させていただきたい。
それはともかく、姫路の街や、手柄山公園の各施設を飲み物を飲んだり、食べ物を食べたりしながら一望できるのである。


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わたしはここで、スポーツ大好き少年たちと、かれらを収容する施設を俯瞰した。ただしそれは物理的な意味での俯瞰にすぎず、むしろスポーツ大好き少年たちの魂が、休日にひとり展望台でナポリタンの大盛りを貪るオッサンを、ああはなりたくないと下から俯瞰していた可能性もある。


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なお、このナポリタン、メニューには「イタリアン」と書いてあった。ナポリ以外の人にとっては心外なのかもしれないが、そもそもナポリの人も「ナポリタン」に納得できるかどうか疑わしいところではある。


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この展望台のほとんどが回転部になっており、ごくわずかに残されている中央の静止ゾーンで店員さんは調理や会計を器用に済ませる。のんびりした雰囲気ではあるものの、常に回りが回っているのだから三半規管などが大丈夫なのか心配であるし、また、見知らぬご婦人の三半規管の様子を心配するほどわたしは心優しいのだとアピールしておきたい。


この日は朝から何も食べずに歩き回っていたのだけれど、この宇宙船の中の具が少なめの「イタリアン」で糖質を十二分に補給し、視力と生きる気力が回復した。


なお、この店、食べログでのスコアはたったの3点。この店だけ3点満点というわけではあるまい。これはこのレストランがサエないという意味ではなく、食べログの評価システムが万全とはいえないことを示す一つの例である。あるいは姫路っ子たちは、この展望レストランよりも心ときめくすばらしい店にこっそり通っているのかもしれず、それなら小さいフォントでいいからコメントを頂戴したいところである。

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