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ココロ社

主著は『モテる小説』『忍耐力養成ドリル』『マイナス思考法講座』です。連絡先はkokoroshaアットマークkitty.jp

建国記念日をバレンタインデーにしてほしい

ココロ社の正論大爆発コーナー、今回は建国記念日の話。


もうすぐ建国記念日である。祝日のわりには、待ちに待ったという気分にならないところが愛くるしい祝日。
この寒さのなかに祝日があっても、家で着る毛布にくるまっているうちに終わるだけだしなァ……でも休みがないよりはまあいいや……程度に思われている、祝日の中でも最底辺の存在(なお、お子様や学生にとっては、夏休みと重なっている海の日が最底辺である)。およそ一ヶ月前、正月休み明けの厭世的な気分を和らげるため、自在に日付を変えて三連休を創造してくれた成人の日のことを思い出して、思わず「ママァ……」と呟きたくなってしまうのも無理はない。


この祝日はつっこみどころ満載なのだが、祝日に文句を言っても平日になるだけなので、皆でつっこまないように我慢しなければならないのがつらいところ。そもそも、2000年以上グレゴリオ暦以外の暦を使っていた国の建国記念日が、グレゴリオ暦の毎年2月11日にあるということが怪しい。昔ながらのラーメン屋のタンメンに添えてあるゆで卵のスライスが、何度頼んでも必ず卵の中心部のスライスであることと同じくらいの怪しさである。どちらの怪しさにも正解があるのだが、今回は建国記念日の話に絞ることにするけれど、建国記念日は、神武天皇が即位した日、つまり紀元前660年の1月1日にあたるのだけれど、その1月1日を秘伝のレシピで換算すると、グレゴリオ暦の2月11日と算出されたのだった。


しかし、神武天皇が実在していたと仮定し、その神武天皇が即位したタイミングに西洋列強諸国に負けないほど正確な暦が広く使われていたと仮定し、その暦における大晦日までに神武天皇による諸国平定がキリよく終わって元旦に天皇として即位したと仮定し、そのグレゴリオ暦への読み替えをした1873年については秘密のレシピによる2月11日説が正しかったと仮定したとしても、グレゴリオ暦1974年以降の毎年2月11日が神武天皇即位の日になるはずは絶対にない。つまり、少なくとも、1874年以降の建国記念日は実際とは異なるのである。この日が正しくないことについて文句を言う人がほとんどいないのは、神武天皇の存在そのものを信じている人がほとんどいないからだと思われる。実際、橿原神宮にある神武天皇陵は、19世紀に整備され、宮内庁が管轄しているのだけれど、何を管轄しているのだろうか。


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もちろんそういう怪しさも含めて神武天皇陵は好きで、この写真を撮るために天皇陛下のことが好きすぎる人が通りすぎるのをじっと待っていたりもしたのだけれど、それはともかく、本題に入らなくてはいけない。


建国記念日を実際の日付ではない日付に設定しているのであれば、来年からでいいので、建国記念日を2月11日から2月14日にちょこっとスライドしておいていただきたいのである。
理由は簡単で、バレンタインデーのチョコ(レート)をもらったら返さなくてはいけないのが非常に面倒だから。毎年必ず祝日にバレンタインデーがあれば、初年度には勇ましくその前日にチョコ(レート)をくださった方におかれましても、毎年毎年バレンタインデーが祝日になっていたら、徐々に心が折れてチョコ(レート)を贈ることを断念するだろう。
贈られる方が面倒と思っているのだから、贈る方はもっと面倒だと思っているに違いない。つまりこのバレンタインデーとは、双方が嫌々ながら互いへの忠誠心を誓い合うという、関係性の奴隷記念日であり、日本社会のダークサイドが濃縮された日に他ならない。しかも、このイベントに労力を割いたとしても、朝の挨拶の声が小さかったり、始業時間に一秒でも遅れたりしたら、たちまち「忠誠心なし」とみなされ、バレンタインデーの贈り物やホワイトデーのお返しが帳消しになってしまう。日常的に忠誠を誓い合わねばならないと決まっているのだから、それに加えて忠誠心を誓い合うイベントを開催する意味がどこにあるのだろうか……(いや、ない)。


いやいや、それはいわゆる一つの「義理チョコ(レート)」についての話かと思われるかもしれないが、いわんや本気チョコ(レート)をや、である。本気チョコ(レート)の何が問題かというと、チョコ(レート)そのものである。
女性から男性へのDVが語りづらいことと同じくいままであまり語られてこなかったが、女性はチョコ(レート)が好きな人は多いいっぽう、男性はチョコ(レート)に興味がない人が多く、好きだという人はむしろ少数。嫌いな人さえいるほどである。つまり女性に置きかえてみると、「好きでもない男性から鶏皮せんべいを贈られた」に等しい行為であり、「同僚から鶏皮せんべい が配られる事例が発生」と、警察から防犯メールが発信されても不思議ではないが、女性が男性にチョコ(レート)を贈っても、警察から防犯メールはなぜか一通たりとも送信されないのである。サーバーが落ちているのではないだろうか。


なお、今年のバレンタインデーは日曜なので、上記のような心配は不要なのだが、この1年を準備期間として、早めに超党派の有志議員たちで、建国記念の日を2月14日にする法案を提案してほしい。
建国記念日様におかれましては、ジメジメした関係性大国から脱却する意味もこめて、バレンタインデーに体当たりし、バレンタインデーを祝日化することで、奴隷的イベントに終止符を打ち、英霊となっていただきたい。新しい日本のはじまりとして、建国記念日は2月14日に鎮座していただきたいのである。


あるいは、バレンタインデーが2月11日になってくださっても一向に構わない。バレタインの発祥は、ルペルカリア祭という、くじ引きで男女がペアを結んで過ごす濃密な祭りであると言われており、そこまでするのなら存続してもいいかと思うのだが、日本では製菓会社のマーケティングで、一般的に男性の好きな食べものではないはずのチョコレートを贈る日へと超解釈がなされているのだから、超解釈のついでに、バレンタインデーとは、神武天皇が即位の記念に蘇(古代の味わい深い乳製品。現代では飛鳥寺の前の売店などで入手可能)を二上山のてっぺんから撒き散らした日である……などという故事をでっちあげて、2月11日、としてくださっても一向に構わないのだ。


いずれにせよ、建国記念日の直後に「このまえ建国記念日を迎えたことでお馴染みのこの国、日本はつくづくダメな国だなぁ……」などと思ってしまうようなイベントがあると、暗い気分になってしまう。ダメなものはすぐには直せないにしても、百害あって一利なしのこのイベントについて、そろそろご配慮くださってもいいのではないかと思うのだ。


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