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ココロ社

主著は『モテる小説』『忍耐力養成ドリル』『マイナス思考法講座』です。連絡先はkokoroshaアットマークkitty.jp

辛すぎず、いろんな香りがする「スーパーマイルド五香ラー油」を自作し、辛さ一辺倒の世界から脱出する

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ココロ社のクッキングコーナーの続き。
今回からは「店では食べられないものを家で作る」ことに特化した記事を書いていきたいと思っている(ので、レシピを確立するのにすごい手間がかかっていてつらい)。

市販されているラー油はせいぜい50ccの小さな瓶に入っている。
決してこの写真のような売り方はされていないが、なぜこのようにしなければならないかについて、お話しさせていただきたいと思う。


今回紹介する、スーパーマイルド五香ラー油とは……
辛いのが苦手な人も大丈夫な、いろんな香りがする、しかも、市販のラー油より圧倒的に安く作れるラー油である!
辛さ一辺倒の世界から四川料理を自由にしたいという壮大な目論見もあり、それについては後日述べるけれども、この定義に納得してくださった方は、以下のレシピを実行していただければ大変ありがたいです。

【材料】
(1) 長ネギの青いところ3本分、あるいは、丸ごと1本分
(2) サラダ油 450ミリリットル
(3) 胡麻油(かどやの金印純正など、炒ってから絞るタイプのもの)50ミリリットル
(4) 干しエビ 20グラム
(5) 八角ひとつ(注:1粒ではなくて星1つ)
(6) シナモンの皮(桂皮) 10グラム
(7) みかんの皮 1個分(裏の白い糸みたいなのは取ったもの。乾いてなくていい)か、陳皮10グラム
(8) 唐辛子 20グラム(一味でもよいが、より細かく挽いてあるものが望ましい。キムチ用の「甘口」がおすすめ)


【製法】
(1) 長ネギを5センチ程度の長さに切る
(2) ボウルか耐熱容器に唐辛子を入れておく
(3) フライパンに、サラダ油、八角、シナモン、陳皮、干しエビ、長ネギを入れて、弱火で20分加熱する
(4) 金属のザルで油を濾しながら油をボウルにいれ、素早くかき混ぜる
(5) 常温近くまで冷めたらごま油を入れてかき混ぜて完成

 
 

安さだけではない、ラー油自作のメリット

ラー油の製法だけを読んでもピンとこなかった人もいるかもしれない。たしかにわたしもラー油を自分で作るまでは、ラー油を自作する人は、よほどのこだわりやさんであると思っていた。
しかし、実際に作ってみてわかったのだけれど、市販のラー油から脱却するということは、中華料理を作るにあたって、自由を手にすることとほとんど同義だと言っていいのではないかと思っている。

ここまで言っても、何のことを言っているのかサッパリ……だと思うので、なるべくわかりやすいよう、ラー油を、とりわけ、辛さをおさえたラー油を自作しなければいけない理由について箇条書きにさせていただきたい。

・市販のラー油は簡素なつくりなのにべらぼうに高い
・材料費をどれだけかけても、市販のラー油よりも安くできる
・辛くて安いので、いままでラー油を使わなかったところに大量に使って味に深みを出せる
・市販のラー油の味を越えることは大変簡単である
・長期保存が利くので、まとめて作ることができる


……長々と書きすぎたせいで、もはや箇条書きにした意味がなくなってきたのだが、市販のラー油高校を卒業し、自作のラー油大学に入学したら、いままでラー油を使うとは思っていなかったところでラー油を使い、おいしくいただくことができるので、ぜひお試しいただきたい。



「辛くて高い」ラー油から「マイルドな辛味でリーズナブルな」ラー油へ

小さな瓶に入っている市販のラー油は、おそらく原価は激安であるはずなのに、大さじ1杯50円という価格設定なのは、ラー油が辛すぎるからである。
餃子のたれに数滴垂らすという使い方であれば、1回当たり何銭というコストにしかならない。むしろラー油のコストというのは、あの瓶と、数滴をこぼさずに垂らすことができる機構に対するコストといえるのかもしれない。
しかし、この辛さと価格のバランスはあまりよいとはいえない。ラー油が、単なる「辛味をつけるときだけに少量用いるもの」になってしまい、もったいないのである。
後日詳しくお話しするけれど、麻婆豆腐や担々麺を自作するにあたって、「辛すぎなくて、いろんな香りのする油」が大量に使えたら、こんな幸せなことはない。

いまの話に近いコンセプトに沿って発案されたのが、「食べるラー油」。
もともと、中国ではラー油に具が入っているものもあったが、食べるラー油は、食べることを意識して、辛味が控えめになっている。
しかしこれもまた、食べないラー油と大差ない価格設定がなされており、おかずとしての地位を与えるほかなく、「食べるラー油」であると同時に「食べるしかないラー油」なのである……。

いまはちょっと世の中が「辛い is おいしい」に寄りすぎているように思うし、そのせいでラー油は本来持っている力を発揮できていないのではないかと思う。
ラー油を、辛味づけだけではなく、中華料理におけるオリーブオイルのような位置づけの油と考えたい。
麻婆豆腐や担々麺で気軽に湯水のように使いたいのである。オリーブオイルのように。パスタの乾麺100グラムでペペロンチーノを作るときに使うオリーブオイルは大さじ2杯。オイルをケチると健康にはよいものの、おいしさが控えめになるのは言うまでもない。そして健康を重視したとしても、きたるべき年金無支給時代に、長生きに必要な生活費をねん出できるかどうかは人によるだろう……。

また、餃子を食べるときに、いままでは醤油と酢をまぜたところに、ほんの数滴垂らすだけだったかもしれないが、自分で作った、辛すぎないラー油が潤沢にあるという状態だと1:1くらいの割合で楽しむこともできる。

ペペロンチーノにおけるオリーブオイルのようにして、中華めんにこのラー油と塩をあえて食べても、少なくともペペロンチーノと同程度の満足感は得られる。

前置きが長くなったけれど、材料を揃えるところから始めよう。冒頭にあげた材料を再掲する。

【材料】
(1) 長ネギの青いところ3本分、あるいは、丸ごと1本分
(2) サラダ油 450ミリリットル
(3) 胡麻油(かどやの金印純正など、炒ってから絞るタイプのもの)50ミリリットル
(4) 干しエビ 20グラム
(5) 八角ひとつ(注:1粒ではなくて星1つ)
(6) シナモンの皮(桂皮) 10グラム
(7) みかんの皮 1個分(裏の白い糸みたいなのは取ったもの。乾いてなくていい)か、陳皮10グラム
(8) 唐辛子 20グラム(一味でもよいが、より細かく挽いてあるものが望ましい。キムチ用の「甘口」がおすすめ)

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一般的なラー油のレシピと比べ、唐辛子は1/3程度にしてある。
八角、干しエビあたりは料理をあまりしない人は買いに行かないとないかもしれないが、長期保存が効くので、一度材料を揃えてしまえば二度目からは気軽に作ることができる。
中華街が近所にある人はそこで仕入れれば普通のスーパーの半額くらいで手に入る。
みかんの皮は、いわゆる「陳皮」のことで、中華料理で使う陳皮はマンダリンオレンジなのだが、みかんでもあまり変わらない。
今回は別に粉にするのでもないので、食べたみかんの皮の、白い糸みたいなところを取り去ったものをそのまま使う。
みかんが手に入りにくい季節なら、中華の食材の店で陳皮を購入して、10グラム入れればよい。ハウス栽培のみかんを皮を使う目的で買うのは、ビックリマンチョコを買ってシールを集め、チョコを捨てるのに似て退廃的な気分になってしまう。気持よく調理したいものである。
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調理法は、フライパンに胡麻油以外の材料を入れて弱火で温めるだけ。 弱火で20分。
ほったらかしでもよいのだが、乾いた物体がだんだん元の姿に戻ってくるのを見ていると、自分もまだやれるかもしれないという謎の自信が湧いてきて楽しいので、ときどきかき混ぜてネギをめくって干しエビや陳皮を観察して楽しむのもいいと思う。
油の温度はむやみに上げない。一般的なラー油の製法だと、油を高温にして、唐辛子の上からかけたりするが、われわれは辛味を引き出そうと思っているわけではない。
この「スーパーマイルド五香ラー油」 において唐辛子はあくまでも脇役。油を高温にして唐辛子以外の香りを飛ばすのはもったいないので、弱火でじっくりそれぞれの食材の風味を抽出したい。
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こうなってきたら完成。余分なものを漉してボウルに注ぎ、素早く唐辛子とかき混ぜる。

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写真だと辛そうに見えるかもしれないけれど、実際に口にすると、あとから控えめな辛味が感じられるだけなので安心していただきたい。
辛くなくてもきれいな赤色に染めることができる。
冷めてきたらごま油を混ぜる。

完成したラー油は、オイル差しに入れておくと楽である。ぼくはIwakiのを使っている。
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たくさん作ってポットに入れておき、オイル差しが空になったら補充する。
数滴垂らすという使い方はもうしないので、大さじではかって麻婆豆腐に入れたり、麺にちょっとかけたりするときに使いやすいような容器がおすすめ。

フルーティな香りとエビの旨味……priceless
味見と思って舐めていると無駄に食欲が促進されるので注意したい。

試行錯誤の果てに、この魔法の油を利用したスペッシャルな麻婆豆腐や担々麺の製法を確立したので、後日紹介させていただきたいと思っている。
ここにまた見にきていただければ大変うれしゅうございます。



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