ココロ社

主著は『モテる小説』『忍耐力養成ドリル』『マイナス思考法講座』です。連絡先はkokoroshaアットマークkitty.jp

できたてがすぐ食べられ、生活が荒廃する可能性。「ポテトチップス製造ライン」導入のすすめ

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気温が上がってきているとはいえ、それに見合った愉快なできごとがないと、かえってふさぎこんでしまいがちなこの季節。
積極的に生きる喜びを獲得する施策を打っていかないと、たちまち召されてしまいかねないが、そもそも、その積極性が失われていることが事の発端……とするならば、偶然ここをクリックした方は、この記事を読まされ、ポテトチップス製造ライン導入を怪しいオッサンにより提案され、道具を買い揃えさせられ、ポテトチップスを作らされ、ツイートさせられ……など、受動態で小さな幸せを獲得させられていただければ幸いである。体重も増えるので幸せと思わないかもしれないけど……。

おいしいのはもちろん、意外に早くできる

ポテトチップス製造ライン導入のメリットは以下の4点が考えられる。

(1)作りたての温かいポテトチップスを食べることができる
カルビーの作りたてポテトチップスの店で並んだり、本郷のファイアーハウスなどに行かなくても、家で気軽に温かいポテトチップスが食べられる。(とはいえ、ファイアーハウスはとてもよい店なので、年に一度くらいは行きたい。そして可能であれば、近江屋洋菓子店とハシゴしたい。)

(2)コンビニエンスストアに行ってポテトチップスを買って戻ってくるよりも早く製造できる
製造ラインが確立できていれば、思い立ってから10分後にはポテトチップスと向き合うことができる。コンビニエンスストアと同じマンションに住んでいるとか、そもそもコンビニエンスストアの店長であったりする場合を除けば、わざわざ買いにいくよりも早い。

(3)食材を自由に選べる
メイクイーン、きたあかり、インカのめざめ……好きなじゃがいもが選べるし、さといも、さつまいもも選べる。じゃがいも以外のチップスはコンビニエンスストアで調達するのが大変だが、製造ラインさえ導入すれば、あとはいもを揃えるだけである。
揚げ油も、オリーブオイルやごま油、ラードでもよく、組み合わせは自由。たとえ社畜と呼ばれる人種であっても、この程度の自由は担保されるし、だから未来にさしたる希望がないというのに、死ぬに死にきれないという人が多いのかもしれない。

(4)失敗する確率が低い
スライサーとフライヤー(後述)を使うので厚さと温度が一定で、生産工程が安定している。

初期投資さえすれば、あとは簡単

製造に必要な資材は以下の通り。

・フライヤー
温度設定がわかりやすいものであればなんでもOKだけれど、ぼくはコンパクトな「象印 あげあげ メタリックカカオ」を使っている(小遣い稼ぎと思われたら癪にさわるため、ここであえてアフィリエイトリンクは貼らない)。電源スイッチがないのが使いにくいと酷評する人もいるのだが、電源スイッチがあると「電源スイッチを切ったかな、どうだろう」と家を出てから煩悶することになり、「この世にスイッチのなかりせば……」と思うかもしれないので、これでいいと思う。温度が設定以上になると自動で停止するので、安全性も高い。

・油
サラダ油だけでも悪くないのだけれど、サラダ油とごま油のミックス、あるいは、ラードだけなど、好きに選べるのがよいところ。

・スライサー
いもを切るために使う。いろんな厚さを試してみたけれど、1.5mmにスライスできるものが望ましい。これ以上分厚いと中が柔らかくなって噛んだときの爽快感がないし、これ以上薄くスライスしてしまうと、市販のポテトチップスと変わらなくなってしまい、アイデンティティが危機に晒され、スーサイドについて考えてしまうからだ。
また、厚さを切り替えられるスライサーも売られているが、あまりおすすめしない。スライスしているうちに切り替えられてしまい、いつしか極厚にスライスしていて、裏切られたと思い、生きているのが嫌になるからだ。

・金属のザル
揚がったポテトチップスの処遇にはさまざまな流派があるが、ぼくは金属のザルにあげて、揚げ終わったら振って油を落としている。他の方法でもよいけれど、油を切るサムシングを用意する必要がある。

・いも
品種は何でもよい。芋に含まれるでんぷん量が多いものがポテトチップスに適しているようで、たとえば、カルビーのポテトチップスは、「トヨシロ」という品種が使われているらしいのだけれど、スーパーで見かけたことがない。メイクイーンでもおいしくできるので、ふだん気に入っている品種でおいしく作ることができると思う。ぼくはインカのめざめが好きだけど。

・塩
粗塩でなければなんでも大丈夫。ただ、アジシオやクレイジーソルトは芋の味がしなくなるのであまりいいとは思わない。

自作するからといって圧倒的にお得……というわけではないがいつかは報われる

1袋買うと128円かかるとみなし、油を5回に1回替えると考える。

固定費を6800円(裸一貫の状態から買い揃えた場合)
変動費を40円(芋)+60円(油)/回とする

128x≦6800+100xとなる回数を求めればよく、つまり約240回作れば黒字になる。
フライヤーやスライサーを専用とみなした場合、かつ、競合をコンビニで入手できるポテトチップスと考えた場合のコストシミュレーションなので、実際はもっとお得になるのだけれど、かといって圧倒的に安くなるわけでもない。作り続けていたらいつかはモトが取れるのだ、程度に考えて導入していただきたいと思う。


「和風里芋チップス」がいちばんおすすめ

わたしが試し、繰り返し作るようになった愛しいチップスたちを紹介したい。


・和風里芋チップス
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【用意するもの】
里芋3個
塩1グラム
サラダ油800ml、ごま油200ml

【調理の手順】
・サラダ油とごま油をフライヤーに入れる。
・油を160度に熱する。
・さといもをフライヤーの上からスライサーで切って投入する。
・4分揚げて塩をかける。

さといもは小さくて、油断すると指をスライスしてしまうので注意が必要。
じゃがいもでは到底到達できない野性的な味わい。じゃがいもなんぞはしょせん人間に飼い慣らされた家畜にすぎない……という気持ちになる。
もともとタロいものチップスをよく買って食べていたのだけれど、このチップスを作るようになってからは買わなくなった。一番好きなチップスです。


・ラードで揚げるポテトチップス
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【用意するもの】
じゃがいも1個
塩1グラム
ラード1000ml

【調理の手順】
・ラードをにゅるにゅる入れる。
・油を160度に熱する。
・じゃがいもをフライヤーの上からスライサーで切って投入する。
・5分揚げて塩をかける。

ときどき、あるいは常に食べたくなるマックフライポテト。
揚げ油にラードが含まれていて、中毒性の源泉となっているという説もあり、それを検証するために作ってみた。
実際、揚げて食べてみると、ちんすこうを彷彿とさせる重量感のある甘味が感じられるのだが、なぜか家で作ると健康にいいような錯覚に囚われてしまいがちなので注意が必要。また、フライヤーにラードを入れていると、どうしても串カツに流れてしまいがちなので、セルフコントロールが要求される。

なお、ラードをフライヤーに入れるときが楽しい。
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・かぼちゃチップス
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【用意するもの】
かぼちゃ1/8個
塩1グラム
ラード1000ml

【調理の手順】
・ラードをにゅるにゅる入れる
・油を160度に熱する
・かぼちゃをフライヤーの上からスライサーで切って投入する
・4分揚げて塩をかける

ポテトチップス以外のチップスは高付加価値商品と位置づけられているのか、いいお値段で売られている。その意味では作れば作るほど得をした気分になるし、じゃがいもよりも栄養があるので、健康によいような気がするところがおすすめのポイント。
甘いのが好きな人は塩をかけずそのままでもおいしいと思う。かぼちゃは硬いので、スライスするときに指をスライスしないよう、必ずプロテクターを装着する必要がある。わたしは二度もスライスしてしまった。


ポテトチップス製造ラインをいちど導入してしまうと、なぜ今まで導入しなかったのだろうと思ってしまう。ただ、いちど思い立ったら10分以内に食べられる、という仕組みを作ってしまうと、いままでにない頻度でポテトチップスを食べるようになってしまうので、ダイエットを真剣に考えている人にはまったく不向き。その点はくれぐれもご注意いただきたいところであります。



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