ココロ社

主著は『モテる小説』『忍耐力養成ドリル』『マイナス思考法講座』です。連絡先はkokoroshaアットマークkitty.jp

安土桃山時代の医学書がキュートすぎる件

日本の国立博物館の中でもひときわ異彩を放っていることでお馴染みの九州国立博物館太宰府天満宮のすぐそばなので、中洲とかでローションまみれになる時間があるんだったら是非とも訪れたいところですが、ここに常設展示してある『針聞書』が、小粒ですがかわいらしさは格別なので紹介させていただきます。
日本文化史でキャラクター化しているといえば鳥獣戯画で、お茶のオマケのストラップになったりしていましたが、こちらも負けずに、J-castのプレゼントになったりしているようです。


この『針聞書』は東洋医学の資料ですが、病気の原因として、妄想した虫の図が載っていて、それがどうにもユーモラスなのです。上の龍?虎?がCawaii




「虫」と言っても、ほ乳類&は虫類ベースなので若干親しみやすい、というか、人体にダメージを与えているくせにあまり憎たらしくないのが面白いです。「日本では病というのは克服すべき対象であるというよりは(以下略)」と深読みすることも不可能ではないかもしれませんが、やはり深読みじゃないかと思います。



この虫の絵を見ると、「奇想天外で、さすがに450年前の人間は人間というより、むしろ猿に近い…」と、つい思ってしまいがちですが、添えられた文を読んでみるとそうでもないことがわかります。どういうことかというと…



▲目を凝らして見てみると、「肝虫大悪虫也カラキモノヲコノム…」と書いてある。「肝の虫は、辛いもので活性化し、木香が苦手」ということは「辛いものは肝臓によくないから気をつけよう」という、わりと現代医学でも説得力のある話になります。
木香は、この本によく登場しているようですが、胃腸を整える働きがある漢方薬です。



▲これは和合(=ニャンニャンのことです。ニャンニャンはセックスのことです。)したときにウンタラカンタラ…っていうことは性病じゃないか!


つまり、変な虫という概念を経由しているものの、健康法として考えると、わりと妥当だということになるでしょう。そして「虫=ウイルス」と考えると、病気のとらえ方は現代とあまり変わりないとも言えるでしょう。少なくとも、現代において根強い、病気の原因を「前世で悪いことをしたからだ」と、前世に求めたりする発想に比べれば、よほど科学的で説得力があるんじゃないかと思いました。



ということで、ぼくも新しい病気の虫について考えたのでご覧いただき、罹患しないよう気をつけていただければ幸いです。



▲外国に行ったらモテるんだよね虫
この虫が寄生すると、女と見れば声をかけてくる国の男たちにモテたということを心のよりどころにしてしまうので、普段から手洗いやうがいで予防しましょう。



▲外の様子を見に行ってしまう虫
この虫が寄生すると、台風や大雪の夜、家でじっとしていたら何も起こらなかったものを、あえて見に行ったため被害にあってしまうので、普段から手洗いやうがいで予防しましょう。



▲トロ虫
この虫が寄生すると、どんな食べ物も、「豚トロ」「トロアジ」「トロサーモン」のように、「トロ」と表現してしまう貧しい言語感覚の持ち主になってしまうので、普段から手洗いやうがいで予防しましょう。


以上、話が長くなりましたが、読むのが面倒な人は、「手洗いやうがいをしていればよい」ということのみ、覚えていただければOKです。

【お知らせ】ニュー・ブログ小説を人知れず始めました

待てど暮らせど、ぼくの小説は世間から黙殺され続けているので、しびれを切らして、ブログ形式で始めました。
ココロ社とは完全に切り離して更新していこうと思います。1話読み切り形式で、画期的な22世紀の小説を展開していきます。
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