ココロ社

主著は『モテる小説』『忍耐力養成ドリル』『マイナス思考法講座』です。連絡先はkokoroshaアットマークkitty.jp

和洋折衷の異形建築「求道会館」

「和洋折衷」というと、今ではアイデアに詰まったプランナーが打ち出す安直な意匠になり下がっていますが、近代の和洋折衷ものは、おしゃれな意匠というレベルをはるかに超えて切実な問題が刻印されていて、独特の存在感を醸し出しています。今回は、東京は文京区本郷にある、「求道会館」を紹介させていただきます。


▲これが外観。どう見てもカトリックの教会ですよね。


近角常観という浄土真宗大谷派の僧侶が、明治33年にヨーロッパまで視察に訪れたのですが、そこにある教会を見て、そのウエルカム感に腰を抜かしました。誰でも気軽に入れて、牧師の話を聞けるようになっている。敷居の高い日本の仏教とは根本的に考え方が違う…と、驚いた彼が日本に帰って建てたのが、この求道会館です*1。さっそく中に入っていきましょう。


▲一歩踏み入れると、教会のように座席が用意されています。ここで礼拝を…と思って正面を見たら…ん?



▲そこには仏像が!!
この六角堂的なサムシング、前半分しかないところが何とも合理的で素敵です。


2階にある柵も、よく見ると…卍があしらわれています。▼


2階からお堂を眺めます。決して広くはないお堂なのですが、開放感があります。コストダウンを余儀なくされていたのですが、それが幸いしてか、「モダニズムの極み」と言いたくなるような美しさをたたえています。▼


異様ですが、わびさび感とキリシタンっぽさがミックスされて…すごくかっこいい!
設計は京大建築学科の創始者である武田五一という人。


▲ステンドグラスの光プライスレス…と思ってよく見たら…▼

これも菩提樹



裏側に入ると、和様の度合いが若干高くなりますが、天井はやっぱり洋式!▼


この建物、随所に西洋と出会ったショックが刻みこまれています。

このレポートだけだと驚きが伝わりにくいと思うので、是非行って体験してみてください。決して広くはないのですが、今年行ったところで一番感激したのはここかなぁ。この建物、つい最近までは朽ち果てるままだったらしいのですが、平成14年に修理が完了。無料で見せていただけます。
公開日は限定されていますが、地図なども含めてこちらに詳細が載っています。

微妙にクリスマスっぽい記事でスマソ!

*1:実際は資金難で建築されたのは大正に入ってから