手近な昆虫関係のスポットといえば、東京では多摩動物公園の昆虫館だと思うのですが、大阪だったら箕面(みのお)の昆虫館ですね。3月に行ったのですが、手荒い歓迎を受けてうれしさと悲しさが半分ずつだったので報告させていただきます。
梅田から阪急電車(東京で言うと東横線的な、ちょっとグレードの高い路線です)に揺られて30分、名物のモミジの天ぷらを貪りながら坂を延々上ると怪しいオブジェがお出迎えです。
▲これは老朽化して割れたのか、それとも羽化の瞬間を表現したいのか、どちらなんだろう。
それはともかく、何が問題かって、入口のところにある謎の体験コーナーがひどい。▼
ご覧のとおり、腐葉土の入った水槽。「さわって体験」って書いてあるから、カブトムシの幼虫かな?それとも…虫の幼虫と思わせてといて、腐葉土の中からリア・ディゾンの切断された乳房が出てきたりするかも…怨恨?それとも愉快犯?などと妄想し、ドキドキしながら土をいじくると、フニャフニャでツルツルの茶色い虫が…▼
これってもしかしてあの「黒いツヤツヤ紳士」として親しまれている、ゴキブリの幼虫じゃないか!しかも、表面が老刑事の愛車みたいにベコベコになっていて、この段階ですでに嫌なゴキブリになることが確定です。人を騙して冬眠中のゴキブリを触らせるなんて、人間にとってもゴキブリにとってもうれしくない企画です…が、触りまくったせいか、ゴキブリに対する拒絶反応がなくなったのは収穫といえるでしょう。当然、手を拭くコーナーなどは特にないので、テラテラになった手をズボンの尻のところで拭き拭き、見学続行です。
そしてこの手荒い歓迎のあとも、世界のゴキブリの紹介コーナーがあり、解説のパネルがいちいちゴキブリ愛に満ちていて素晴らしかったです。
このマダガスカルオオゴキブリの解説に注目。「油くささがなく、さわっても平気な人が多い」…小規模な世論操作!
あと、害虫愛のあまり、虫ではないのにゲジゲジの展示もあり。
「実は益虫」というフォローを台無しにするかのごとく、あえて最高に気持ち悪い感じで水槽の端に固まっていました。
そもそも会報の表紙からしてゴキブリ。色味をうまく調整してかわいい感じにしていてズルイです。
また、随所に凝らされた謎の創意工夫にも着目してください。このまったりした和の空間にカマキリというセンスがすばらしい。カマキリ的には、ハエが飛びかう殺伐とした空間(たとえるなら昔の歌舞伎町)がお好みだと思いますが。
ということで、このへんで読者の9割が脱落したと思いますが、気にせず続けます。クライマックスは蝶だらけの温室。多摩の昆虫コーナーよりも人が少なくて蝶が多いですよ。あと蝶の羽が欠けてなくてきれいです。
マクロで撮っても逃げないので撮り放題なのもいい。竹富島みたいな感じです。
前回、多摩の昆虫コーナーでさなぎになる瞬間の写真を紹介しましたが、ここでもスジグロカバマダラの幼虫(たぶん)が絶賛身を固め中でした。今回は決意してすぐのところだけでなく、さなぎになりかけて意識が朦朧としているところも撮れたのでご覧ください。
写真のように、角状のところは徐々に腐って欠けていき、ツルっとしたさなぎになるようです。梅毒にかかって鼻が欠けた人ってこんな感じになるのかしら?
そして、めでたくさなぎになったよい子は、晴れ舞台であるさなぎ展示コーナーに移されます。
このコーナーの可愛さときたらないね!おとなしく輪の中にはめられて、体が固まるのを待っているところです。しかしこんな風に並べられたら、「いち早く羽化しなきゃいけない」というプレッシャーで気が動転して、羽が伸びきってないまま飛び立ってしまいそう…(そして笑い者に)
昆虫館のあとは、さらに坂をのぼって滝のところに行くといいです。今回は見られなかったのですが猿がいたりします。(「箕面の猿」というと、大阪では人を馬鹿にするときに使います。)猿がいない場合は、写真のように不倫カップルがいたりするのでそちらを鑑賞しましょう。
まあ、あえて旅行で来る感じの場所じゃないですが(「大阪から東京旅行に来たが、新宿御苑で遊んだ」というくらいの不自然さを覚悟!)、関西在住でまだ行ってない人は、ぜひ行ってみてください。
【次回予告】SF系妄想マンガの連載が始まるよ!
今回から、次の予告を入れていきます。何かあればブックマーク越しにでもご意見をいただければ反映できるかもしれません。
マンガ、というのはおこがましいので、「イラストにひどい密度で情報が描き込んであるもの」の連載を始めようと思います。マンガというよりアウトサイダーアートに近いかもしれませんが、見守っていただけると幸いです。