ココロ社

主著は『モテる小説』『忍耐力養成ドリル』『マイナス思考法講座』です。連絡先はkokoroshaアットマークkitty.jp

「プライス・コレクション」は国辱的企画かもしれない

「プライス・コレクション」見たい!しかし、東京国立博物館は、秋にはあの、向源寺(滋賀)十一面観音像もやってくるし、年内に何度行くことになるのだろうか。十一面観音が見たい!って書いておけば秋に当たってるかなぁ…プライスコレクションの方は、ペアチケットじゃないか。1人で2回行くのはダメなんだろうか。ぼくはすばやく見終わってしまうタイプなので、人といっしょに行くのは無理。人と一緒に博物館に行く人って「ああ、もっと見たいけど連れが飽きている」とか「ああ、もう飽きたのに連れが熱心に見ている」とか思ってしまって、作品を見にきたのか、連れを見にきたのかまったくわからなくなってしまうのではなかろうか。完全に割りきって、あいだみつを美術館にすれば、連れに集中できていいのかなと思う。すてきな女の人と行くなら、やっぱりあいだみつを美術館が一番!

ここでやっと本題。プライス・コレクションは、伊藤若冲がメインだけど、曾我蕭白の『寒山拾得図』とかも出たりして、つまり江戸の名画がいろいろなんですが、その充実ぶりが、逆に、「日本文化(の一面)が、ないがしろにされてきた」ということを雄弁に物語っていると言えると思うのです。最近になって曾我蕭白の『群仙図屏風』とかを文化庁が海外から買い戻したりしてるけど、数十年前まで、伊藤若冲曾我蕭白のよさを日本人は見出すことができなかったという事実があるわけです。辻惟雄が『奇想の系譜』を出さなかったら、今もそのままかもしれなかったわけだし、ハートフルなプライス様じゃなくて、もっと変な金持ち外人が買ってたら、居間の端っこに飾られて「ディスイズ・ジャパニーズ・ストレンジ・アート!ハッハッハ!バッシャーン!(←朝食のミルクをかけたシリアルを若冲の『猛虎図』にかけてしまい、虎がホワイトタイガーになった)」とか、そういう感じだったかもしれない。その意味で、プライスコレクションを東京国立博物館で見せるというのは国辱ものかもしれない。まあ、最近、文部科学省が愛国愛国とか言ってるけど、この有様ですわ…まあ、日本にあっても、自分のものになるわけじゃなし、見られればそれでいいんですが、「愛国」とか言ってる香具師のお里が知れるっちゅう話です。

奇想の系譜 (ちくま学芸文庫)

奇想の系譜 (ちくま学芸文庫)