ココロ社

主著は『モテる小説』『忍耐力養成ドリル』『マイナス思考法講座』です。連絡先はkokoroshaアットマークkitty.jp

室生寺

前から気になっていたけど、最寄り駅の室生口大野までも1時間以上かかるし、しかも、駅からバス(どうせこういうところのバスは1時間半に1本とかしかない)ということで延び延びになっていたのですが、いやぁ〜素晴らしかったです。
「女人高野」と呼ばれていることからもわかるように、延暦寺や金剛峰寺と同じく、山岳信仰と結びついたお寺です。室生寺よりもさらに奧に行ったところに龍が棲むとされる洞窟があり、昔から水の神として崇められていたという話なんかも、いかにも、という感じです。だいたい行く前から、「雄大な自然…古代の人々が宗教的境地を見出すのも無理はない」的な感想を抱いているところを想像していたのですが、雄大さが半端じゃない。たとえば、日本最初の神社とされている大神神社は、三輪山という山がご神体になっており、神道がアニミズムに由来することがよくわかるので三輪山自体を国宝にしたらいいと思うのですが、実際登ってみると、「たしかにいい雰囲気だし、また行くぞと思うのだけれど、うーん…ここに神様がいると言われてもピンとこない…」と思ってしまう。三輪山自体に崇拝させる説得力があったのではなくて、なんらかの文化的な意味合いも合わせることで三輪山はご神体たり得たんだろうなぁと思います。

それに対して神道からも離れて仏教と混じり合っており(っていうか寺だから)、アニミズムからは少し距離を置いているはずの室生寺の方が「ここに神がいる」ことに関しては説得力がある。熊野古道で見たような樹齢7〜800年クラスの巨木が人間の意向とは全然関係なく立ったり倒れたりしていて、その中にシンプルな金堂やら御影堂がひっそりと建てられている。石段の向こうに見える御影堂の小ささときたらない。


金堂は金堂で中は別世界、渡岸寺(向源寺)のとよく比較される国宝の十一面観音をはじめとして、いろんな仏像が安置されているのだけれど、十一面観音は…実物を見たという感動はあったけど、あれは彩色の残り方がなんか不潔っぽくて好きじゃないんだよなぁ…エレガンスが感じられない。意外によかったのが十二神将。鎌倉時代・運慶との説があるけど、まあ説は説。誰のでもいいんだけど、躍動感ありすぎで、本当に今にも動き出しそうで、見ていて緊張する。っていうか評価低すぎじゃないか?新薬師寺の十二神将より、こっちの方が断然いいと思うのだけれど、これって問題発言なのかなぁ…


五重塔の端っこに、『神皇正統記』でおなじみ(?)北畠親房の墓があるけど、よく右肩を見ると「伝」って書いてある。本物かどうかわからないのか。「伝」って小さく書くセンスが好き。


で、とりあえず、おみやげコーナーで十一面観音のポスターを買い(文句言ってたくせに)、五重塔の光るアクリル製の置物も購入しました。買って10分と経たないうちに後悔したけど。