読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ココロ社

主著は『モテる小説』『忍耐力養成ドリル』『マイナス思考法講座』です。連絡先はkokoroshaアットマークkitty.jp

東京都慰霊塔

伊東忠太の存在はつい最近知って、しかも著作などに全然触れていないので「名前は聞いたことある」というレベルに等しいのだけど、とりあえず彼の作品の一つである、東京都慰霊塔に行ってきた。(1ヶ月くらい前だけど)

伊東忠太は、日本初の建築史家で、かつ、明治期に「法隆寺の柱はエンタシスなり!」と看破した人。要は教科書に載っているアレ。大昔の記憶だけど「早稲田は山川の教科書の欄外が差の付けどころ」と聞いたことがあるから、もしかしたら早稲田の人とかは「あー忠太ね」という感じなのかもしれない。ナショナリズムが高まる時代背景の中で、なんとも微妙な主張だけど、そんな彼の建築だから「日本的なるもの」の表現が非常にユニーク。

東京都慰霊塔自体は、両国にあり、江戸東京博物館が近くに、あともちろん国技館。特に名所であると認識されているわけではないので、閑静だけど、建物の目的が目的なので、独特の緊張感につつまれている。

関東大震災の死者を弔うために建設されたこの慰霊塔、のちに東京大空襲の死者も納められることになり、計58000人の霊が眠っているらしい。
ただ、この慰霊塔の周辺にある鐘が中国から贈られたものだったりする関係もあってか、東京大空襲の被害者を弔うという色彩は若干弱め。

外観は写真のような感じで、伊東忠太は妖怪好きであったらしく、よく見ると随所に妖怪が散りばめられている。これって「慰霊」というニュアンスからずれる気がするのだけれど、そうでもないのかな。塔自体は本堂と合体していて、その形式のユニークさに圧倒。(乙女、パスタに感動。)総鉄骨でこのユニークな形式のなかで慰霊せよというのは、非常に不思議、というか無理。慰霊だったらもっと無難にした方が、と思うのだけれど。

本堂の中は、まるで教会みたいな椅子が置いてあって、ミサでも行われそうな雰囲気。 とにかく慰霊っぽくない塔で、ここで故人をしのんで泣けと言われたら困るなぁと思った。
ただ、「悲しみにくれているから、多少ズレていても平気」という回路も働くのかなと思う。たとえばおばあさんが死んだとした場合、棺の顔のところをパカっと開けたら、死化粧にアイシャドウが施されていたという場合、「二度と開かない目を大きく見せようとしてどうするんだよ!」ってつっこむ人はいなくて、やっぱり悲しいのは悲しいのではないかなと思う。関係者じゃないから細かいことが気になるのかな。