ココロ社

主著は『モテる小説』『忍耐力養成ドリル』『マイナス思考法講座』です。連絡先はkokoroshaアットマークkitty.jp

ロブ=グリエ『反復』中間まとめ

ようやく読み終わろうとしているところだけれど、1回だと何がなんだかわからないというか、何がわからないのかわからないので、もう1回読もうかと思う。
これまでの感想。

推理小説という求心力の強いテクストの体裁を取りつつ、全然話者(たち)は中心に迫ってない(謎を解いてない)というところは、体裁としては面白いし、すごく参考になる。(新しいとかは思わないけど)
しかし、たとえば、話者がたくさんいてよくわからないという点ではちょっと似てるかもしれない、マルケスの『族長の秋』の方が読んでいて楽しいように思える。あれはやっぱり、描写力が圧倒的だからだろうなぁ。あと、もともと求心力がすごくある話じゃなかったからか。

『反復』は、読者の唯一の関心事になりがちな「謎解き」を、快く骨抜きにする手腕が楽しめるかどうかの鍵になってくるはずなのに、どちらかというと、単にゴチャゴチャしているという印象が強い。
「あー犯人が誰かわかりそうなところだったけど、なんか犯人が誰かなんてどうでもよくなるくらい、この描写がイイ!もういいや、犯人が誰でも。」とか、そういう小説が読みたい。いや、正確に言うと、書きたい。

ということで、次の小説は、聖徳太子について、いろんな話者が語って謎解きをするのかと思いきや、むしろどんどん話がややこしくなっていく感じの小説とかにしようかと思った。

あと、推理小説って、江戸川乱歩の『D坂』と、奥泉光の『葦と百合』しか読んだことがないのだけれど、面白いのかなぁ...
犯人の名前を言っただけで台無しになってしまうようなテクストは、やっぱり軟弱だと思うので、あまり読む気がしない。有無を言わせず読ませてほしい。

あと、2ちゃんでカバーの絵(写真参照)が「アメリカ的だ」と話題になっていたが、この絵こそ、「ヌーボーロマンの、21世紀における身のやつし方」という気がする。