ココロ社

主著は『モテる小説』『忍耐力養成ドリル』『マイナス思考法講座』です。連絡先はkokoroshaアットマークkitty.jp

読書ノート

ベネディクト・アンダーソン『想像の共同体』
気恥ずかしいけど、今からでもいいから、と読んでいる。
基本的に「日本的なるもの」がでっちあげであることをやんわりと指し示す小説になると思う。「日本的なるもの」を成立させようとして、ものすごく変な失敗をする、という形で。もちろんそんなことは、本当はどうでもいいのだが、小説らしさを適当にアピっておくために取り上げる。
で、この本なんだけれど、「公定ナショナリズム」の日本に関する分析を適当に利用できそうかなと思う。
日本の公定ナショナリズムがスムーズに成立した条件として
・民族文化的同質性
・天皇家の古さ
・夷人が一挙に押し寄せてきたため、国防のもと、容易に結集できた
という3点をあげていて、ああ、そりゃそうだと思ったが、伊勢神宮云々となると。「天皇家の古さ」に言及せざるを得なくなり、ちょっと面倒なことになりそうだなという気がしている。
昭和33年にあって、公定ナショナリズムの引き締めとして東京タワーが建てられるという設定にするのなら、伊勢神宮式年遷宮のうさんくささを指摘しつつ、なおかつ、おのぼりさんが最初に降り立つ東京駅に建てるということで、民族的な同質性がうまく台無しになれば面白いなぁ…というか、その線で考えていこうっと。
『想像の共同体』について全然書いてないが、例のあげ方が面白かった。「経済的共同体のために命を捨てるというのはあり得ない」とか書いてあって、思わず「ASEAN命」と書いたヤクザたちがEU諸国でテロを起こすという妄想が浮かんだ。たしかにASEANのために死ぬのってあり得ないなぁ。