ココロ社

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新しいタワー

NHKと在京民放5社は17日、地上デジタル放送の機能をより有効活用するため、現在電波を送信している東京タワー(東京都港区、333メートル)に代わる600メートル級の新タワー構想を推進することで合意したと発表した。誘致に積極的な地域や団体と連携して経済性や立地条件などを比較検討していく。デジタル放送に完全移行する11年までには新タワーで送信を始めたい考えだ。

 600メートル級のタワーが実現すれば、カナダのCNタワー(553メートル)を抜いて世界一高い建築物になる。6社側は東京タワーと同様、建設や経営に直接はかかわらず、施設使用料を支払う形態を想定している。

 今月1日から始まった関東地域の地上デジタル放送は、東京タワーに新設した専用アンテナ(250メートル付近)で送信している。従来のアナログ放送と同じ視聴地域はカバーできるが、将来普及が見込まれる携帯テレビなどのモバイル端末は、高層ビルなどの影響を受けやすいとされる。このため「良好な受信環境を確保するには高さ450メートル以上の送信施設が必要」との見方が放送局側に強まり、最終的に新タワー推進で合意した。

 今後6社は役員で構成する「在京6社新タワー推進プロジェクト」などで、建設工事の事業主体や立地条件、経営形態などを検討する。

 新タワーをめぐっては97年ごろから首都圏各地で様々な誘致案が浮上したが、局側は必要性などについて明確な態度を示さず、誘致運動を静観してきた経緯がある。

 東京都台東区では、上野公園での建設を目指して地元商店街などでつくる「新東京タワー区内誘致準備会」が誘致運動を展開。600メートルのタワー案を軸に同公園の整備計画をまとめた。展望台や文化施設、飲食店なども併設し、総建設費は約450億円。建設会社や銀行などが出資する事業会社を設立する計画だ。

 埼玉県はさいたま新都心への誘致に向けた情報収集を続けており、総務省にも「特段の配慮」を要請している。東京タワーを経営する日本電波塔も、敷地内に新タワーを建設することを検討中という。