ココロ社

主著は『モテる小説』『忍耐力養成ドリル』『マイナス思考法講座』です。連絡先はkokoroshaアットマークkitty.jp

阿蘇クマ牧場の踊るクマがあまりにも四角いので、思わず豚肉を投げつけた


半年以上前の話ですが、阿蘇のクマ牧場に行ってきて、たいそう感激したので報告させていただきます。


阿蘇といえば、阿蘇山。
ご存じない方はいないと思うのですが、有名な観光地の最寄り駅となる阿蘇駅の駅前が大変寂しくて驚きました。
駅の向かいにある食堂がこのありさまです。ヒュ〜…▼



いろいろ旅行していますが、地方の観光地はどこもこんな感じで、「もしかすると、夜になると床がぐるっと回転して、ラスベガスみたいなカジノが登場、胸の谷間が妙に離れた金髪のバニーガールたちがお尻をプリプリ振りながら練り歩く店になるの?」と勘ぐってしまいますが(もし当たっていたら、秘密をばらしてしまって申し訳ありません…)、本気で閉店している模様です。


気を取り直して、というか、阿蘇の大自然が気持ちいいため気落ちしてないですが、案内板の表示に従って歩くこと15分あまり。クマ牧場に到着です。正式名称は「阿蘇カドリー・ドミニオン」で、昔の名称が阿蘇クマ牧場なのですが、ちょっと小じゃれたデートスポットになっている感じです。
園内ではテーマソング的なものがエンドレスで流れているため、聴覚が麻痺してきますが、とにかく熊に集中です。

餌くれダンスのバリエーションは登別クマ牧場に匹敵

ここのすごいところは、餌のバリエーション。
人気のある餌とない餌に分かれていて、人間社会で愛されている人は、熊の反応が薄めでも大丈夫なので、パンを300円で購入すれば事足ります。



人間社会でそんなに愛されていないか、あるいは、「それなりに愛されてはいるだろうけど、人生に期待しすぎているため、少々愛される程度では満足できない」という欲張りさんにおかれましては、少々値が張りますが、豚バラのブロックを500イェンで購入するしかありません。
なお、写真奥に見えている鶏まるまる一匹は750円ですが、これは、外資系の金融会社の人などが買うのでしょう。


ぼくはしおらしく、最初にパンを買いました。一応、見せると、餌くれダンスをしてくれます。
「パン〜〜〜〜〜」という感じにしてくれてうれしいです。



とはいえ、しばらく投げていると反応が薄えてしまいます。
「やっぱりパンはパサパサしてて好きじゃないかも…」
たしかに、日本の人間の場合はGHQの占領政策がうまくいって、小麦をたくさん消費するよう飼いならされてきたものの、熊はというと、なかなか原始的な欲求を抑えきれず、アンチ・パサパサ派が根強いのです。


ということで、人生に期待しすぎることでおなじみの私は肉を購入。やっぱり反応が違いますわ〜。
というかパンをガン無視とはぜいたくな…▼


しかし、餌の要求にもいろいろあって、かわいくダンスを踊るのもいれば、示威行動に出るタイプもいます。▼


「お肉をこっちに投げないと、この爪で、お前の顔をシマウマみたいにするからな!」
ひぃ〜〜〜
まあ、人間社会でも、自分の要求を通すためにこびるタイプと怒るタイプの2パターンがありますが、後者の戦略を取ると、長期的に見ると損をする確率が高いです。突然、人から見捨てられたりね…


ということで、動画でも撮っておいたので、何かの参考にしていただければ幸甚です。冒頭のクマの肉を見る表情に注目。ここまで頭をからっぽにできるのか、と感動してしまいます。あと、強引なクマは餌にありつけないのです…



結論:「かわいいは正義

差別化することで餌を得る戦略

われわれ人間も、「東京にいるのに大阪弁で話す」「ブログを書いて、仕事だけの男じゃないことをアピールする」「部屋の本棚には絶版のフランス文学全集を入れる」などで差別化をはかり、「自分は世界で一つだけの花である」と思いこむ―ちなみに全部、わたしの例なので、書いていて辛くなってきましたが、気にせず続けます―ものですが、クマたちも同様です。
より目立つダンスを、しのぎを削って開発…これとかセクシーで大満足。▼



―とはいえ、登別のクマ牧場のクマたちも似たような動きをしていました。たぶん、学校教育の秩序から自由なつもりの不良集団が、カツアゲやシャブなど、結局どれも似たような動きをとってしまうのと同じかもしれません。お決まりの人生のレールから外れて自己表現をしようと試みるが、要は別のレールに乗っただけの話…
「真にクリエイティブであり続けることは、本当に難しい」ということを教えてもらったような気がします。



▲なお、ストレスか何かで毛が抜け落ちていて、涙を誘うクマもいますが、意図せずして差別化に成功してしまったと言えるかもしれません。虎の毛皮でも着せてあげたいわ…

四角すぎる熊

小さな脳をスペック限界まで使いこんで開発した、個性的なようでそうでもない餌くれダンス。そろそろ見飽きたかな〜というところで、一頭のクマが立ち上がったのですが、どうにも四角すぎて驚きました。頭が大きいのか、体が細いのかわかりませんが、四角すぎるだろ…




後ろもがんばっているのですが、この四角さの前では無力。
思わず肉を投げてしまいました。

各種クマ取り揃え

以上、ヒグマを中心に紹介させていただきましたが、他の種類のクマも絶賛公開中。マレーグマやヒマラヤグマなど、各種取り揃えておりますので、阿蘇に行けば、あなたの今の気分にピッタリのクマがきっと見つかるはず!



「ヘイ!そこのオッサン!俺といっしょにゴミムシとか探して食べようぜ〜」
絶対やだ!



▲ヒマラヤグマの体毛の渦巻き具合…たまーにスネ毛を処理せずストッキングを履いてて、複雑な渦ができている人がいますが、それを想起させます。


また、ピンク色のオチンチンを怒張させているのもいて、「そんなにぼくのことが好きなのか」と感激し、柵を乗り越えたい気持ちに駆られましたが、ここが我慢のしどころです。▼



しっかしキレイなピンク色ですなぁ…


▲ガン見してたら隠されてしまいました。

記念に子グマと写真が撮れる

「クマは見るものにあらず、抱くものなり」ということで小熊を抱いて写真撮影ができるコーナーもあります。まあ、オッサン一人で挑むと失笑されますが、笑われたからといって小熊を抱くのを、あなた諦められますか?????



なお、念のためですが、わたしの撫でテクニックは軽く種族の差を超え、小熊はかなりうとうとしてました。(しかし、肝心の人間の女性たちには「なんか動物を撫でるような撫で方をするよねー」と不評)
小熊の毛は想像しているより硬かったけど、なかなか可愛かったです!



という感じで、面白さ爆発なので、阿蘇に行かれた際には素通り厳禁でお願いしたい次第です!